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2020年3月8日

本当に怖いのは株価下落ではない―いまこそキャッシュフローの再確認を



“コロナ・ショック”で世界的な株価急落が続いています。このため個人投資家の間でも株価の先行きに関して不安が高まってきたことでしょう。しかし、個人投資家にとって本当に怖いのは株価下落ではありません。いまこそ、本物の危機に備えて家計の現状を再確認するときです。

新型コロナウイルス感染症の流行とそれをきっかけとする株価急落がこれからどうなっていくのかは誰にもわかりません。ただ、ほぼ確実にわかっていることがあります。新型肺炎流行を防ぐためにあらゆる社会的行動が抑制されることで、生産・流通・消費がいずれも低迷していることです。この経済的な悪影響は、規模の大小は別として、必ず顕在化してくるでしょう。

私がいま恐れているのは、この経済的な悪影響です。株価下落なんか問題ではありません。株価下落などは所詮、評価額という証券口座の電子情報で表現される数字が変化するだけ。しかし、実際の経済情勢の悪化は、それこそ具体的な形で家計を直撃します。例えば今後、ボーナスが減る、あるいは給料が減るといったことが実際に起こるのです。株価下落よりも、こちらの方が比べ物にならないぐらい怖い。これこそ“本物の危機”です。

だから、いまこそ家計のキャッシュフローをしっかりと確認するときです。ボーナスが減ったり、月々の給料が減っても家計を維持できる状態になっているかを確認するべきです。もし、家計のキャッシュフローが収支トントンならば黄色信号。いざという時にすぐ苦しくなります。さらに“賢い消費”を心掛けたいものです(ただし、あまりのケチケチ生活がダメです。クオリティ・オブ・ライフが低下して持続性がないからです)。

ちなみに、こうした時のために株式や投資信託といったリスク資産だけでなく現金や預貯金といった無リスク資産をしっかりと持っておく必要があるわけです。なぜなら家計における固定費というのは簡単に下げることができません。だから本当の経済危機が来ると、株価下落によってリスク資産がどんどんと減るだけでなく、家計のキャッシュフロー悪化によって無リスク資産もどんどん減っていくのです。そうなると、経済が活況な時には「投資効率が悪い」「機会損失だ」などと嘲笑されていた無リスク資産をしっかりと確保していた個人投資家が、がぜん輝きだすでしょう。

ですから、いまは株価に一喜一憂するときではありません。そんな暇があったら、家計のキャッシュフローの再確認に時間を割いてください。それこそが市場で生き残るための前提条件であり、最低条件につながるかずです。

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