2020年2月25日

新型コロナウイルスの水際対策の現実



インドネシア出張も初日が無事に終了しました。新型コロナウイルス感染症の水際対策が各国で実施されていますが、ここインドネシアも例外ではありません。だんだんと外国人に対する対応が厳しくなっています。ただ、実際に自分が外国人として入国をすると、現在のようなグローバル化の進んだ世界では、水際対策にも限界があるということを実感します。

インドネシアは現在も新型コロナウイルスの感染者ゼロですから、水際対策が成功しているように見えるわけですが、実態はなかなか微妙です。インドネシア入国の際に発熱や咳の有無を確認する問診票(冒頭の写真)の提出を求められ、センサーで体温を確認されるのですが、具体的なチェックとしてはこれだけでした。はたしてこれでどれだけ感染者の入国を阻止できるのか疑問でしょう。

入国後、さっそく仕事でいくつかの会社を訪問しました。やはり1社は受付で発熱や咳の有無を確認する問診票に記入を求められ、センサーで体温を測定されました。ただ、チェックしてくれた受付のおネエさんは満面の笑顔。上から言われたから実施しているだけといった感がありありで、なんとものんびりしたものです。結局、自由主義国での水際対策といっても、この程度しかできないのが現実です。だから日本や韓国のチェック体制が特段にザルというわけではありません。逆に人権が尊重されているという意味で誇るべきことです。

なにより面白いのは、インドネシア人の多くが国内での新型コロナウイルス感染者が本当にゼロだと信じている感じがしません。どうせ検査がまともにできないだけで、実際はかなりの感染者がいると信じている人も少なくないようです。ただ、それでも社会がヒステリックになるような感じがあまりなく、いつも通りのジャカルタの景色です。口の悪い人は「新型コロナといっても致死率は意外と低そう。インドネシアはもっと怖い感染症が日常的にあるからねぇ」とさえ言います。こういう社会はいい加減だけれども、“強い”社会なのかもしれません。少なくともリスクに向かう姿勢としては、パニックになるよりはよほど健全に感じます。

こういうインドネシアの鷹揚さというのが非常に好きです。とくに最近の日本のように過剰にゼロリスクをもとめて社会全体がギスギスしているのを目の当たりにしていると、かえって東南アジアに滞在している時の方が気分が落ち着きます(なにより日本のメディアが発する情報を遮断できるのも大きい)。そんなわけで、こちらでも手洗いなどをしっかりして、あとは美味しいものを食べて睡眠をしっかりとることで抵抗力を高めるという感染症予防の基本を徹底するだけです。あと、体内をアルコール消毒するのも止められないのでした。

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