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2019年12月1日
野村AMが公募型投資信託を日本で初めて併合―インデックスファンド統合促進の呼び水になるか
野村アセットマネジメントが2010年5月27日付で「野村インデックスファンド・国内債券」と「野村ターゲットプライス「日経225」(国内債券運用移行型)」を併合すると発表しました。
ファンド併合の実施について(野村アセットマネジメント)
報道によると、公募型投資信託の併合は今回が日本で初めてのケースだそうです。こうした動きは、ぜひ他の運用会社さんにも追随して欲しいと思います。そのための呼び水として野村AMの決断は大いに評価できます。
今回のファンド併合は「野村インデックスファンド・国内債券」を存続ファンド、「野村ターゲットプライス「日経225」(国内債券運用移行型)」を消滅ファンドとする形式で実施されます。両ファンドはマザーファンドが同一のため実質的に同じ商品でした。これを統合することで、より効率的な運用が行えるようにすることが狙いとなります。
日本の投信業界ではファンドが粗製乱造され、それが運用会社の回転売買の温床になっているという指摘がかなり以前からあります。おしてファンドが盛んに新規設定される一方で、多くのファンドは設定後数年を経るとほとんど積極的に販売されることもなく打ち捨てられてきました。このためファンドの統廃合の必要性は早くから指摘され、金融庁もそれを促してきました。また、インデックスファンドの場合、マザーファンドが同一のファンドは運用内容や品質が同じであるにも関わらず、異なる信託報酬の商品が存在するという“一物二価”の状態が放置されていることを問題視する声もあります。
こうした点を考えると、今回の野村AMの決断は大いに評価できるでしょう。同一マザーファンドのインデックスファンドの統合に先鞭をつけたわけですから。とくに評価したいのが、統合後の信託報酬は低い方が採用されていることです。これはインデックスファンド統合による“一物二価”問題解消の一つのモデルケースになるのでは。
ファンドの統合に関して、もうひとつ注目したいのはインデックスファンドの“持続性”という観点です。現在、日本でもインデックスファンドの低コスト化が急速に進みました。これだけ信託報酬が低下すると、運用会社にはそれでも利益を確保してファンドを維持できるだけのコスト構造が必要になります。その方法は二つしかありません。ひとつは純資産残高を拡大することで収入の絶対額を大きくすることです。そしてもうひとつが運用会社がいかにローコストオペレーションを実行できる体制を整備できるかです。
この二つの方法を実現する手段のひとつがインデックスファンドの統合です。ファンドを統合することで、1ファンドの純資産残高は大きくなります。それにより運用効率が高まり、オペレーションコストも低下するでしょう。もちろん一時的には信託報酬が低下することによる収入減はありますが、それは事業構造改革のための一時的な費用と考えるべきです。
野村AMには今後もぜひインデックスファンドの統合を進めて欲しいと思います。そして、他の運用会社もぜひ追随して欲しい。理想は各運用会社がインデックスファンドに関して1指数に対して1ファンドを運用するという形でしょう。そうなったとき、低コスト化と持続性を両立した形で本当の意味でのファンド間競争、運用会社間競争が始まるはずです。