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2019年9月14日
「たわらノーロード」シリーズ2ファンドが信託報酬を引き下げ―低コスト競争は再び三国志に突入か
すでに何人ものブロガーさんが報告していますが、アセットマネジメントOneが低コストインデックスファンド「たわらノーロード」シリーズの先進国インデックスファンドとバランスファンド(8資産均等型)の信託報酬を10月1日から引き下げると発表しました。
「たわらノーロード」一部ファンドの信託報酬率を引き下げ-「先進国株式」および「バランス(8資産均等型)」、最低水準に-(アセットマネジメントOne)
発表にあるように、2ファンドとも信託報酬はカテゴリー最安値に並びます。現在も続くインデックスファンドの低コスト競争に先鞭をつけたファンドシリーズの秘湯である「たわらノーロード」が動いたことで、インデックスファンドの低コスト競争は再び三国志の状態に突入しそうな気配です。
今回、信託報酬が引き下げられるのは以下の2ファンドです(カッコ内は引き下げ後の税抜信託報酬)。
「たわらノーロード先進国株式」(0.0999%)
「たわらノーロードバランス(8資産均等型)」(0.14%)
いずれもニッセイアセットマネジメントの「<購入・換金手数料なし>」シリーズや三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim」シリーズなどと並んでカテゴリー最安値に並びます。特に「たわらノーロード先進国株式」は、競合2ファンドに続いて信託報酬が0.1%の大台を下回り、新たな次元に突入しました。
「たわらノーロード」シリーズは、ニッセイAMの「<購入・換金手数料なし>」シリーズと並んで現在のインデックスファンドの低コスト競争の火付け役でした。設定当初から人気を集め、現在でもかなりの金額を保有しているインデックス投資家も少なくありません。現在でも多くの金融機関を通じて販売されています。
ところがその後、三菱UFJ投信の「eMAXIS Slim」シリーズなど新たな競合ファンドが登場し、「<購入・換金手数料なし>」シリーズと激しい信託報酬士気下げ競争が起こる中、「たわらノーロード」シリーズは対抗策で出遅れるケースが目立ちました。信託報酬の引き下げは運用会社だけでなく信託銀行と販売会社の同意が必要であり、この点で販売会社が多い「たわらノーロード」は迅速な動きが取れなったのでしょう。そうするうちにインデックスファンドの低コスト競争は「<購入・換金手数料なし>」シリーズと「eMAXIS Slim」の2強体制になったと誰もが思っていたわけです。
だからこそ今回、「たわらノーロード」シリーズが信託報酬の引き下げに動いたことは大きな意味があります。販売会社の多さっから信託報酬引き下げの同意を得るための交渉は大変だったと思います。そこまでしてもインデックスファンドの低コスト競争からは撤退しないという確固たる意志を示したことになります。それは現在もファンドを乗り換えずに「たわらノーロード」シリーズを保有・購入し続けている既存の受益者に対して運用会社として最善の努力を惜しまない姿勢の表れに違いありません。
また、「たわらノーロード」シリーズは、楽天証券やイオン銀行、みずほ銀行などの個人型確定拠出年金(iDeCo)プランにラインアップされていることも重要です。iDeCoのプランは簡単に乗り換えができません。ですから「たわらノーロード」シリーズの信託報酬引き下げは、楽天証券やイオン銀行、みずほ銀行のiDeCoプランに加入している人にとっても朗報です。これも既存の受益者の利益を専らにする姿勢として大いに評価すべきです。
「たわらノーロード」が反撃の狼煙を上げたことでインデックスファンドの低コスト競争は一段と激しさを増すかもしれません。もともと「たわらノーロード」シリーズは巨大なマザーファンドによる安定した運用で実質コスト面での競争力は高いものがあります。信託報酬でもカテゴリー最安値に並ぶことで、その競争力は一段と高まるでしょう。今後、インデックスファンドの低コスト競争は、「<購入・換金手数料なし>」「eMAXIS Slim」そして「たわらノーロード」による三国志に突入するような気がします。