2019年8月10日

「EXE-i」シリーズの第6期運用報告書を読む―その魅力は依然として衰えていない



私がSBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)オリジナルプランで愛用しているパッシブ型ファンド、SBIアセットマネジメントの「EXE₋i」シリーズの第6期(2018年5月14日~2019年5月13日)運用報告が出ました。海外ETFに投資するファンド・オブ・ファンズ(FoF)なので純粋なインデックスファンドではありませんが、海外ETFを活用することで低コストなパッシブン運用を可能にしたファンドとして愛用しています。そこで実際に積立購入している「EXE-i新興国株式ファンド」と「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」の運用報告書を確認します(その他のファンドについては運用報告書を直接確認ください)。

まずは、新興国株式ファンド。第6期の騰落率は-6.4%でした。参考指標であるFTSE・エマージング・インデックスの騰落率は-5.7%です。参考指標と大きく乖離していますが、これは「EXE-i」シリーズの各ファンドとも保有するETFのベンチマークと参考指標の指数が若干異なりるためです。あくまで参考値として、ほぼ近似した数字なら問題ないと解釈しています。やはり2018年は新興国株式がいまひとつさえなかったことがよくわかります。

実質コストは以下のようになりました(FoETFsのため信託報酬以外に投資対象ETFの信託報酬がかかります。投資対象ETFのコストは目論見書から抽出しました)。

「EXE-i新興国株式ファンド」
信託報酬:0.248%
売買委託手数料:0.021%
有価証券取引税:0.0%
その他(保管、監査)費用:0.014%
合計:0.283%
投資対象ETF信託報酬:0.128%程度
実質コスト合計:0.411%程度

前期から実質コストは横ばいとなりました。新興国への投資は現地の資本規制や税制、あるいは流動性の面などから実質コストがかさみやすいので0.4%台の実質コストが依然として優秀です。また、投資対象ETFの主力である「シュワブ エマージング・マーケッツ エクイティETF」はベンチマークがFTSE・エマージング・インデックスのため、韓国が含まれていません(FTSEは韓国を先進国にカテゴライズしているため)。このため「EXE-i新興国株式ファンド」はポートフォリオに占める韓国のウエートがMSCIエマージング・マーケット・インデックスをベンチマークとするインデックスファンドと比べて非常に小さくなります。このあたりも好みの分かれるところです。

続いてグローバル中小型株式ファンドです。第6期の騰落率は-4.6%、参考指標であるMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス・スモールキャップの騰落率は-3.0%でした。やはり昨年後半の世界同時株安で中小型株も大きく売り込まれ、戻し切っていないということです。実質コストは以下のようになりました。

「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」
信託報酬:0.248%
売買委託手数料:0.063%
有価証券取引税:0.001%
その他(保管、監査)費用:0.017%
合計:0.329%
投資対象ETF信託報酬:0.082%程度
実質コスト合計:0.411%程度

前期から若干実質コストが増加しています。内訳を見ると売買委託手数料が増加しています。期中に投資対象ETFのひとつを「シュワブUSスモールキャップETF」から「バンガード・スモールキャップETF」に変更しているので、乗り換えコスト発生したからだと考えられます。その代わりに投資対象ETF信託報酬は低下が見込めますので、投資対象ETF変更による今後の効果を期待したいと思います。グローバル中小型株式ファンドも世界の中小型株式に投資できる数少ないパッシブ型ファンドですから、やはりその魅力は衰えていません。

最近はインデックスファンドの低コスト化が一段と進み、「EXE-i」シリーズのコスト面での優位性はやや弱くなっています。しかし、SBI証券のiDeCo(とくにオリジナルプラン)を使っている人にとっては依然として重要な役割を担うファンドです。ですから今後も「EXE-i」シリーズには頑張ってほしいと思います。

なお、「EXE₋i」シリーズの廉価版ともいえるファンドに「SBI雪だるま」シリーズがあります。とくに「SBI新興国株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(新興国株式))」は「EXE-i新興国株式ファンド」よりもさらに低コストを実現しています。ぜひSBI証券には「EXE₋i」の信託報酬を「SBI雪だるま」シリーズに近い水準にまで引き下げて欲しい。そうすれば「EXE₋i」シリーズの魅力は、一段と高まるはずです。

【ご参考】
「EXE-i」シリーズは主要ネット証券で購入できるほか、SBI証券確定拠出年金プランにもラインアップされています。SBI証券のiDeCoプランは運営管理手数料が無料であり、商品ラインアップも低コストなインデックスファンドが揃っているので、最もお薦めの金融機関の一つです。ネットから無料で資料請求できるので関心のある方は研究してみてください。⇒SBI証券確定拠出年金プラン

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