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2019年7月2日

「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」第2期運用報告書を読む―総経費率の意味と開示の目的を説明して欲しい



三菱UFJ国際投信の超低コストインデックスファンドシリーズ「eMAXIS Slim」の運用報告書が随時更新されました。各ファンドの全体的なまとめなどは他のブロガーさんに任せるとして、今回は自分が積立投資している「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」の第2期運用報告書を確認することにします。

現在、インデックスファンドの低コスト競争を牽引するシリーズの一つである「eMAXIS Slim」ですが、とくに「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」はコストが嵩みやすい新興国株式というカテゴリーで極めて低廉なコストを実現したファンドとして高い人気があります。第1期決算は設定初年度の変則決算だったため、今回の第2期決算(2018年4月26日~19年4月25日)が、正味12カ月間の決算としては初年度ということになります。気になる費用明細上の実質コストは以下のようになりました。

信託報酬    0.202%
売買委託手数料 0.037%
有価証券取引税 0.025%
その他費用   0.115%
合計      0.379%

新興国への投資は現地の資本規制や税制の関係上、どうしてもコストが嵩みがちです。その中で実質コスト0.379%というのは非常に優秀。純資産残高も159億円(前期末は56億円)と1年間で3倍近く拡大するなど順調な資金流入が続いています。こうした安定した資金流入とファンドの規模拡大が実質コストの低廉化に貢献していると考えられます。

また、ファンド騰落率は-1.5%、ベンチマークであるMSCIコクサイ・エマージング・マーケット・インデックス(円換算)の騰落率は-3.1%でした。大幅に上方乖離していますが、これは、これまで分配金を出していないことでファンドの基準価額に配当分が含まれているのに対して、ベンチマークが配当除く指数のためです。運用の精度としてもおおむね問題のない範囲と言えそうです。

非常に安定した運用をこれだけの低コストで実現しているわけですから、やはり新興国株式に投資するインデックスファンドを選ぶなら「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」は有力な選択肢でしょう。また、今年中にはベンチマークも配当込み指数に変更されるので運用状況の確認もわかりやすくなります。引き続き安心して積立投資を続けることができそうです。

さて、今回の運用報告書から参考情報として「総経費率」なる数字が開示されました。説明では「当期中の運用・管理にかかった費用の総額(原則として、募集手数料、売買委託手数料及び有 価証券取引税を除く。)を期中の平均受益権口数に期中の平均基準価額(1口当たり)を乗じた数で除した」ものとのことで、「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」の場合は0.32%となります。

この総経費率という数字に関しては、その意味についていろいろと想像できることがあるのですが、無責任なことは言えないのであえてこれ以上言及しません。やはり三菱UFJ国際投信が直接、その意味や開示した目的について詳しく説明し欲しいと思います。もしかすると、これはインデックスファンドのコスト情報開示に関する新しいスタンダードを作る可能性を秘めているように感じるからです。

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