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2019年6月15日
前年に続いて参考指数をアウトパフォーム―「iTrust世界株式」の第3期運用報告書を読む
サテライトポートフォリオで少額ですが積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の第3期運用報告書(全体版)(2018年4月11日~2019年4月10日)が出ました。ファンドの騰落率は+10.5%、参考指数であるMSCIワールド指数(ネット配当込み)の騰落率も+10.5%でした。分配金は見送りです。参考指数と同じ騰落率となりましたが、交付運用報告書の方をよく読むと、厳密にはファンドの騰落率が+10.49%、参考指数の騰落率は+10.47%ですから、辛うじて参考指数をアウトパフォームしたことになります。これで2期連続で参考指数を上回ったことになり、なんとかアクティブファンドとしての面目は保てたといえそうです。
期中の基準価額と参考指数の推移を見てみると、18年前半は参考指数を下回る傾向が続いていましたが19年に入ってからの株価回復局面で前半の出遅れを取り戻した形です。組入れ上位10銘柄を見ると、マイクロソフト、アルファベット、アップルの上位3銘柄は変化ないものの、新たにロシュ・ホールディングス、DBSグループ・ホールディングスが加わり、逆にアストラゼネカ、コノコフィリップスが姿を消しました。ただ、セクター別では大きな変化はなく、電気通信サービスのウエートが低下する代わりにコミュニケーション・サービスのウエートが上昇した程度です。それほど大規模なポートフォリオの組み換えは行われていないといえそうです。
実質コストと純資産残高ですが、以下のような結果になりました(いずれも税込)。
信託報酬:0.961%
売買委託手数料:0.022%
有価証券取引税:0.035%
その他(保管・監査・その他)費用:0.112%
実質コスト合計:1.135%
純資産残高は12億6600万円(前期は6億9200万円)、マザーファンドの純資産残高は133億9900万円(同135億2400万円)でした。前期の実質コスト合計が1.151%でしたから、やはり純資産残高の増加による効率化で運用コストが若干低下しています。売買高比率は1.16となり、こちらも前期の1.29から低下しています。やや落ち着いた運用となったことも経費低下につながっているといえそうです。
2期連続で参考指数をアウトパフォームしたことで、ようやくエンジンがかかってきた「iTrust世界株式」ですが、設定初年度の出遅れが大きく、設定来の騰落率では依然として参考指数を下回る成績となっています。中長期的に成長が期待できる優良銘柄を厳選して投資するのがこのファンドのコンセプトですから、今後の巻き返しに期待したいところです。また、「iTrust」シリーズは受益者専用サイト「iInfo」を通じて機関投資家向けレポートやデータ集を配信してくれるなど充実した情報発信も魅力。こちらも引き続き楽しみにしたいと思います。
【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プラン