2019年6月20日

世界経済と株式市場は一段の悪化か―「iTrust世界株式」の2019年5月の運用成績



サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2019年5月次運用報告が出たので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の5月の騰落率は-7.33%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は-6.36%でした。4月までは3カ月連続で参考指数をアウトパフォームしていましたが、一転して5月は大幅なアンダーパフォームとなってしまいました。やはり米中貿易戦争激化による悪影響を強く受ける結果となっています。先行きに関してもピクテの見方はかなり悲観的になっており、世界経済と株式市場は一段の悪化懸念が高まっているとしています。

5月はトランプ米大統領による対中関税引き上げの決定や米国によるファーウェイへの取引規制などから世界経済への悪影響懸念が嫌気され、株価は大幅な下落となりました。業種別では、公益やヘルスケア、生活必需品などディフェンシブ銘柄が相対的に小幅な下落にとどまる一方、エネルギー、情報技術、素材などは下落率が大きくなるなど明らかに市場のマインドが悪化しています。

こうした中、ピクテは市場の先行きに関してもかなり厳しい見方を強めています。「iTrust」シリーズの受益者に配信している機関投資家向けレポート「Barometer」6月号によると、世界経済と株式市場は一段の悪化懸念があるとしています。このため株式のアンダーウェイトとキャッシュポジションを高めることを推奨しています。

特に脆弱だと見るのが米国株。高水準なバリュエーションと景気敏感セクターに偏重した市場構成を勘案すると投資妙味は極めて薄くなります。世界株式全体で見ても成長率が低下しており、コンセンサスを大幅に下回る公算が高まってきました。このため株価にも大きな下振れ圧力がかかる可能性があります。

一方、世界経済がピークアウトしたとすると、相対的に魅力が高まっているのは新興国債券だと指摘しています。債券全体で見ると景気の先行き不安からくる債券価格上昇(利回り低下)で投資妙味は薄いのですが、新興国債券は比較的良好な投資収益を確保できる可能性が残されているとか。新興国通貨が対ドルで比較的割安水準にあることも収益性を下支えしそうです。

いずれにしてもしばらくは世界のマネーは“安全(質)への逃避”が進みそうな気配。引き続きしっかりとシートベルトを締める時期が続きそう。個人投資家も改めてリしく過剰になっていないかを再確認する段階に入っているといえそうです。

【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プラン

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