2019年3月15日

PIMCOの「女性と投資」プログラムは超硬派



米国の大手運用会社、PIMCOが女性に対する投資情報発信を強化しています。このほど「女性と投資」と題するプログラムがスタートし、日本語ウェブサイトも立ち上げました。

女性と投資(PIMCO)

まだコンテンツが少ないですが、アップされている内容が超硬派なので驚きました。最近は日本の運用業界でも女性に対するマーケティングとアプローチの重要性が注目されていますが、妙にキラキラ感が協調されたイメージ発信でお茶を濁すような内容が多い。それに比べるとPIMCOが発信する情報は、投資や運用業界においての「男女平等」という大テーマが明確で、実に真面目なものです。こういう真面目な発信を真面目に実行するところが、さすが名門の運用会社だと感心しました。

日本では投資という行為自体がカジュアルではないのですが、特に女性に対するアプローチが圧倒的に貧弱です。しかし、これは日本に限った問題ではなく、世界的に投資は業界サイドも投資家サイドも圧倒的に男性中心であり、女性はマイノリティです。そして、投資の普及という観点から、これは大きな問題だとされてきました。何しろ地球の人口の約半分は女性なのですから、その女性に支持されないようでは投資や運用業界に未来はないわけです。

そういう問題点は以前から意識されていて、日本でも運用業界も手を変え品を変え女性に対するマーケティングとアプローチを続けています。ところが、その多くが上手くいかない。理由は単純で、女性に対する認識が甘いからでしょう。だから“女性向け”と言われるアプローチといっても、妙にキラキラ感だけを強調した“ライフスタイル型投資のススメ”か、ひどいものになるとイメージ先行の妙なテーマ型投資信託の提案などが登場します。いずれも問題の本質について真摯な省察がないのです。

そんな中でPIMCOの提案を見ると、その真面目さに清々しさを感じます。PIMCOの「女性と投資」プログラムは、「金融業界における女性」「投資家としての女性」そして「女性への投資」という3つのテーマを通じて投資における「男女平等」を目指す包括的プログラムとのことです。単なる営業政策ではなく、運用業界のダイバーシティや社会変革への視点があるのです。こういった真摯な視点こそが、本当の意味で女性と投資の関係を考えるということでしょう。決してイメージだけでお茶を濁すのではないことに感心しました。

これからどんどんとコンテンツが追加されていく予定でだそうで、女性だけでなくすべての投資家にとって勉強になる内容が期待できそう。私自身も非常に楽しみです。ぜひPIMCOさんには、意欲的なコンテンツを発信してもらいたいと思います。

※PIMCOの「女性と投資」プログラムについては「NIKKEI STYLE」にも担当者のインタビューが掲載されました。日本でも調査や教育プログラムの提供、セミナー実施などを予定しているそうですから、こちらも非常に興味深いです。

債券投資、日本の女性にわかりやすく伝授 米ピムコ 金融機関の販売員に教育プログラム 専用サイトも(NIKKEI STYLE)

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