2019年3月8日

厳しかった2018年の投資環境―「世界経済インデックスファンド」の第10期運用報告書を読む



私が積立投資のコア商品として愛用している「世界経済インデックスファンド」の第10期(2018年1月23日~19年1月21日)運用報告書が出ました。2018年は世界的な株安などで非常に厳しい投資環境だったのですが、「世界経済インデックスファンド」の運用結果もそれを象徴するような内容になっています。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの「世界経済インデックスファンド」は、これ1本で世界の株式と債券に50:50の比率で投資できるバランス型インデックスファンド。株式と債券はそれぞれ先進国と新興国のGDP比率を参考に配分され、新興国も含めた"世界経済全体の成長"を享受することを狙うコンセプトが非常に面白く、根強いファンがいます。私自身も積立投資のコア商品としてかなりの金額を保有しています。

第10期運用報告書によると、当期の騰落率は-8.2%、分配金は見送りとなりました。国内債券を除くすべての資産カテゴリーが下落するなど18年の非常に厳しい市場環境が反映されたものとなっています。マザーファンドベースのアセットクラスごとの騰落率は以下のようになりました。

国内債券インデックス  +1.3%
国内株式インデックス  -15.4%
先進国債券インデックス -3.6%
先進国株式インデックス -7.6%
新興国債券インデックス -7.8%
新興国株式インデックス -16.4%

国内債券以外のすべての資産カテゴリーがマイナスとなるのはかなり珍しい結果です。いかに18年の市場環境が厳しかったかがよくわかります。とくに国内株式と新興国株式の落ち込みが大きいのが興味深い。国内株式は意外とボラティリティが高いのです。そして、いかに分散投資していたとしても、大型の下落が来れば、やはりほとんどの資産カテゴリーが下落するということも教えてくれます。

さて、第10期の実質コストは以下のようになりました(実質コストを比較することの有効性については様々な意見がありますが、やはり目安といて一定の有効性はあると思います)。

信託報酬 0.539%
売買委託手数料 0.005%
有価証券取引税 0.004%
その他(保管、監査)費用 0.056%
実質コスト合計 0.604%

前期の実質コストが0.623%でしたから、純資産残高の増加に伴って運用効率が高まり、順調に減少しています。実質コストが高くなりがちな新興国の株式・債券にある程度のウエートで投資していることを考えると、なかなか良心的なコストになっていると思います。

とはいえ現在では、もっと信託報酬の低いバランス型インデックスファンドがたくさんあります。さすがに「世界経済インデックスファンド」も、もう少し信託報酬が下がってくれればという思いはますます強くなってきました。依然として人気を維持しており、類似の資産配分コンセプトのファンドもあまりないことを考えると、ここで信託報酬を引き下げれば、このファンドの輝きは一段と増すと思うのですが、いかがでしょう。三井住友トラストAMさんには、ぜひ前向きに考えてほしいと思います。

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