2019年1月15日

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」の投票に寄せたコメントを紹介します



先日開催された「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」表彰式では、投票者がファンドに寄せたコメントも発表されました。その内容が公式サイトでも掲載されています。

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」公式サイト

私のコメントも掲載されました。ただ、無記名での掲載なので、だれがどのようなコメントを寄せたのかがわかりません。そこで参考までに私が寄せたコメントを転載しておこうと思います。

今回、私は「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」と「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」そして「ひふみ投信」に投票しました。そこに寄せたコメントは以下のようなものです。

「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」

インデックスファンドは基本的に規模の経済が成り立つ商品です。このため純資産残高が増加することによる運用経費の低下は、信託報酬の引き下げという形で受益者に還元されるのが本来の形です。そうすることによって運用会社と受益者が同じ方向を向いて歩むことが出来るのです。ところが日本ではこうした大原則があまりにも軽視されてきた。信託報酬の引き下げがあったとしても、それは新規ファンドの設定によって行うといった既存ファンドの受益者の存在を軽視するやり方が横行していたのです。そんな中、純資産残高の増加に合わせて既存ファンドの信託報酬を断続的に引き下げることに本格的に取り組んだのがニッセイAMの「<購入・換金手数料なし>」シリーズでした。この歴史的意義は極めて大きい。今後も現在の方針を徹底し、受益者とともに歩むファンドとして成長してほしいと願っている。


「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」

新興国に投資するファンドは、現地の税制や資本規制の関係がら低コスト化が非常に難しい。これに対して「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」は、まさに異次元の低コストを真っ先に実現した。おそらく単独ファンドでの採算という面では非常に厳しいものがあると思う。しかし、それは日本で新興国投資を普及させるために誰かがしなければならなかった先行投資だろう。そこに挑戦した三菱UFJ国際投信に、大手運用会社としての矜持を感じた。


「ひふみ投信」

「ひふみ投信」はこれまでユニークな投資哲学と受益者との濃密なコミュニケーションによって成長してきました。しかし、ファンドの規模が成長するにしたがって、ファンドのありようも変化せざるを得なくなります。一方、ファンドのの規模拡大は、受益者の質をも変化させます。はたして変質し、劣化しているのはファンドの運用戦略なのか、それとも受益者の質なのか。最近、いろいろな意味で注目を集めてしまった「ひふみ投信」ですが、その評価において重要なのは、何が変わり、何が変わっていないのかを見極めることでしょう。そういった批評的な視点が共有されることこそ、日本において良質なアクティブファンドが存在しうるのかという大きな問いを考える際に不可欠だと思うのです。それを確かめるために、そして「ひふみ投信」(あるいは「ひふみプラス」と「ひふみ年金」も含めて)のすべての受益者に対して「あなたは、なぜこのファンドを購入しているのですか」ということを改めて問う意味も込めて票を投じることにします。


たんに投票するだけでなく、こうしてファンドに対するコメントを寄せることができるのは非常に有意義な取り組みです。私のコメント以外にも、優れたコメントが多数あります。これらは単に投票したファンドだけに寄せられた声ではなく、ある意味で日本の運用業界全体に向けた個人投資家の声です。だから、すべての運用会社・販売会社は真摯な気持ちでこれらコメント読んだ方がいいと思う。そこには、いま日本の運用業界には何が必要で、何が求められているかを理解するための大きなヒントが隠されているはずです。

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