2018年12月1日

前半の貯金を生かして参考指数をアウトパフォーム―ひふみ投信の第10期運用成績



サテライトポートフォリオで保有している「ひふみ投信」の第10期(2017年10月3日~2018年10月1日)運用報告が交付されましたの読んでいきたい思います。「ひふみ投信」の騰落率は+16.4%、参考指数であるTOPIX(配当込み)は+11.0%でした。分配金は当期も無しです。最近はやや苦戦していると見られている「ひふみ投信」ですが、とりあえず10月までの第10期は参考指数を大幅にアウトパフォームする素晴らしい成績を見せてくれました。参考指数をアウトパフォームするのは、これで5期連続です。受益者の1人としてうれしい限り。とくに期前半の運用は見事なもので、その貯金を生かして先行逃げ切りに成功した形です。

運用報告書は今回も期を相場のキャラクターや運用戦略の変化に合わせて便宜的に第Ⅰ期(2017年10月~18年1月)と第Ⅱ期(2018年2月~10月1日)に分けて分析しています。第Ⅰ期は、いわゆる“ゴルディロックス相場(適温相場)”という言葉が出るなど全体として好調に推移しました。こうしたなか「ひふみ投信」は、上昇が期待できた大型株のウエートを増やす一方、過熱感が出ていた中小型株を一部売却するといった機敏な判断と戦略が成功しました。このため第Ⅰ期の騰落率は参考指数が+9.9%に対して「ひふみ投信」は+16.6%と大幅にアウトパフォームすることに成功しています。

ところが第Ⅱ期に入って状況が変わります。ゴルディロックス相場も終了するといった警戒感から相場は下落。米中貿易戦争の激化も相場の重しとなります。こうした中、「ひふみ投信」は再び“地味に地道に成長する企業に投資する”という、これまで得意としてきた運用戦略に切り替えます。また、このタイミングで海外株式を買い増しに動きました。既に月次報告書で名前が挙がっていたアマゾンやマイクロソフト、VISAなどに加えて、セールスホースなどをポートフォリオに加えています。運用報告書の保有銘柄を見ると当期末での保有海外株式は12銘柄にまで増えており、アリババやテンセントといった中国企業の名前もあります。第Ⅱ期は参考指数の騰落率が+0.9%だったのに対して「ひふみ投信」は-0.2%にとどまりました。

第10期は後半から相場のキャラクターが一変しており、とくに後半から「ひふみ投信」にとっって苦戦の傾向が出ていたわけです。しかし、前半の貯金を生かして、通期では素晴らしいパフォーマンスを確保できたと言えるでしょう。

こうなると気になるのは今後の運用方針です。運用報告書では3つのポイントとして、世界的な金利上昇や株式相場の変動率拡大の中で競争力のある企業に的確に投資すること、米中貿易戦争の影響を受けない地味で地道な企業と、米中貿易戦争で漁夫の利を得る企業に投資すること、IoTや自動化の流れの中で恩恵を受ける企業に投資することを掲げています。既に始まっている第11期は、やや苦戦のスタートとなっていますが、ぜひともこの投資戦略が成功することを期待したいと思います。

最後に「ひふみ投信」の実質コストを確認しておきます。第10期の費用明細は以下のようになりました。

信託報酬:1.055%
売買委託手数料:0.19%
その他(保管・監査・その他)費用:0%
実質コスト合計:1.246%

第9期の実質コスト合計は1.358%でしたから、順調に低下しています。売買高比率は1.23となり、こちらも前期より低下しました。期末段階での保有銘柄数は238銘柄となり、期首の185銘柄から増加しています。ひふみマザーファンドの純資産残高は8425億円でした。

【ご参考】
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