2018年7月20日

特別法人税の廃止のためにもiDeCo加入者の拡大が不可欠―2018年7月の個人型確定拠出年金(iDeCo)積立と運用成績



猛烈な暑さですね。私は仕事で真夏にインドネシアのジャカルタやタイのバンコクに行くことが多いのですが、はっきり言って現在の日本の夏は東南アジアよりも暑いです。株式市場の方も夏枯れ相場で一進一退といったところでしょうか。そんな中、SBI証券で加入している個人型確定拠出年金(iDeCo)の7月の買い付け(6月拠出分)が行われました。少しづつですがiDeCo加入者も増加傾向が続いています。それは良いことだと思う。そして今後、企業型DCも含めた加入者のさらなる拡大と団結が不可欠になってくるでしょう。その理由の1つが、iDeCoのデメリットのひとつと言われる特別法人税の問題があるからです。

SBI証券のiDeCoプランで買付けたファンド・商品はいつもの通りです(カッコ内は信託報酬)。

【個人型確定拠出年金(SBI証券iDeCoプラン)】
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンド」(0.16%)
「DCニッセイ外国株式インデックス」(0.189%)
「EXE-i新興国株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.131%程度)
「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.104%程度)
「三井住友・DC外国債券インデックスファンド」(0.21%)
「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」(0.52%)
「EXE-iグローバルREITファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.114%程度)
「あおぞらDC定期」

7月19日段階での累積リターンは18.5%となり、前月から少し上昇しました。あいかわらず夏枯れ相場ですが、それほど大きくは崩れていません。なんとか世界経済も持ちこたえているといったところでしょうか。

さて、iDeCoは拠出金全額が所得控除され、運用中の収益に対しても非課税なことから大きな課税繰り延べ効果が期待できる制度です。このため資産形成のための最強ツールの1つと言われているわけですが、もちろんデメリットもあります。その1つがと特別法人税の存在でしょう。これが気になってiDeCoへの加入を躊躇する人も少なくありません。

特別法人税はiDeCoだけでなく企業型確定拠出年金や確定給付型企業年金など年金積立金(拠出金+運用益)に対して年率1.173%(国税1%、地方税0.173%)を課税するものです。利益でなく積立金全体に課税されますので、その負担はかなりのものです。1999年度からは3年ごとの時限措置として適用凍結が繰り返されているのですが、やはり年金運用にとっては“喉に刺さった小骨”のような存在です(現在の凍結措置は2020年3月末まで)。

そもそも特別法人税は課税繰り延べに対する一種の延滞利息として設定されているのですが、はっきり言って既に制度の存在そのものの合理性が失われています。ですから「凍結」などという姑息な方法でなく「廃止」するのは本筋なのです。だから現在の改正確定拠出年金法でも参議院の付帯決議として特別法人税の廃止が盛り込まれました。しかし、国は財源を失うことを恐れますから、財務省を中心に廃止反対論が根強く、妥協の産物として「凍結」という措置が執られているわけです。

つまり、もはや特別法人税の問題というのは政治の問題です。そして、政治の問題を解決するためには“数”は重要になる。民主政治において“数は力なり”です。iDeCoの加入者が拡大し、特別法人税の課税対象者が国民の中で多数派となれば、それらが声を上げたときの政治力も大きくなる。iDeCo加入者が増えれば増えるほど、特別法人税廃止に向けた国民運動の可能性が広がるのです。そして、そのためには加入者が団結することが欠かせません。

特別法人税の問題が解決しない限り、そのリスクを避けるためにiDeCoに加入しないという判断を私は批判しません。それもひとつの立派な見識だからです。ただ、私は誰かが問題を解決してくれるのを待つのではなく、自分自身が問題解決のための連帯と運動に参加したいと思っています。そういう一種の覚悟もiDeCoに加入するためには必要なのかもしれません。

【関連記事】
なぜ特別法人税の制度そのものの合理性が失われているかについてや、加入者が団結して運動する必要性については以前にもブログで書いていますのでご参照ください。

特別法人税の廃止に向けて“全国の年金加入者よ、団結せよ!”

【ご参考】
iDeCoは金融機関によって手数料や商品ラインアップが異なります。現在、iDeCoプランの選択肢としてお薦めなのは運営管理手数料が無条件無料で低コストインデックスファンドをそろえるSBI証券、楽天証券、マネックス証券、イオン銀行、松井証券です。iDeCoへの加入を検討している人は、これら金融機関のプランを研究することをお勧めします。いずれもネットから無料で資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン楽天証券確定拠出年金プランイオン銀行確定拠出年金プランマネックス証券確定拠出年金プラン松井証券確定拠出年金プラン

また、iDeCoは、やや制度が複雑なので解説書を読んで研究するのも良いでしょう。解説書としては大江英樹さんの『はじめての確定拠出年金投資』山崎元さんの『確定拠出年金の教科書』『シンプルにわかる確定拠出年金』竹川美奈子さんの『一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』田村正之さんの『はじめての確定拠出年金』大江加代さんの『図解 知識ゼロからはじめるiDeCo(個人型確定拠出年金)の入門書』を挙げておきます。





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