2018年7月22日

米国株はアンダーウェイト、日本株はフルオーバーウェイト―「iTrust世界株式」の2018年6月の運用成績



サテライトポートフォリオで少額だけ積み立て購入しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2018年6月次運用報告が出たので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の6月の騰落率は-0.44%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+0.82%でした。ここ数カ月、参考指数に対してアンダーパフォームが続いており、調子を落とし気味です。なんとか巻き返して欲しいところです。ここにきて再び相場のキャラクターが変化しつつあるようなので、ポートフォリオの組み替えも少し行われているようです。ちなみにピクテは米国株をアンダーウェイトとする一方、日本株はフルオーバーウェイトを推奨しています。

6月は月前半こそハイテク株を中心に力強い上昇を見せた株式市場ですが、月後半からは米トランプ政権が中国からの輸入品に対する関税賦課を正式に発表し、中国も報復措置を取ると表明するなど米中の貿易摩擦に対する懸念が高まったことで下落に転じました。業種別では、生活必需品や公益事業が大きく上昇し、一般消費財・サービス、エネルギーなども上昇する一方、資本財・サービス、金融、素材は大きく下落し、情報技術も市場平均程度の下落となりました。

もともと夏枯れ相場で株式市場は冴えない動きとなりやすいのですが、「iTrust」の受益者に配信されるピクテの機関投資家向けレポート「Barometer」2018年7月号を見ると、世界経済全体に対してかなり慎重な見方が強まっています。世界の景気先行指数は今後数か月、先進国を中心に緩やかなペースで減速することを示唆しているそうです。株式市場のバリュエーションも複数のセクターでは割高感が強まっています。

このためピクテでは米国株を引き続きアンダーウェイトとし、さらに債券比率を高めることを推奨するなどデフェンシブな姿勢を強めています。米国株は特にこれまで市場を牽引してきたハイテク銘柄のバリュエーションが高すぎるわけです。その一方で日本株はフルオーバーウェイトを推奨しているのが興味深い。バリュエーション面で割安感が目立つことに加え、アナリスト予想が下方修正されつつある先進国市場の中で日本だけは企業の業績見通しも良好であり、現在の株価は過小評価されているという判断です。最近の日本では一部の個人投資家の間で“日本株オワコン論”“米国株集中投資論”があるわけですが、プロの見立てはもっと複雑だということです。

いずれにしても株式市場の先行きにかなりの警戒感を持っていることだけは確かそう。世界経済の行方は、米中貿易戦争の動向も含めて当分は楽観はできそうになりません。そして、こういった局面でこそ株式と債券の組み合わせで守りを固めることが大切になりそうです。

【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プラン

関連コンテンツ