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2018年7月4日
「eMAXIS Slim」の3ファンドが信託報酬を引き下げ―低コスト競争は“準決勝”から“決勝戦”の段階に移行か
予想通りの展開というべきか、三菱UFJ国際投信が超低コストインデックスファンドシリーズ「eMAXIS Slim」の3ファンドの信託報酬を7月25日から引き下げると発表しました。
業界最低水準の運用コストをめざす『eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)』信託報酬率の引き下げを実施(三菱UFJ国際投信)
先日、ニッセイアセットマネジメントが超低コストインデックスファンドシリーズ<購入・換金手数料なし>の6ファンドの信託報酬を引き下げたのに対抗したものでしょう。引き続き両シリーズによる低コスト競争が続くことになります。
今回、信託報酬が引き下げられる3ファンドと引き下げ後の信託報酬(税抜)は以下のようになります。
「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」(0.109%以内)
「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」(0.159%以内)
「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」(0.189%以内)
みごとにニッセイAMの<購入・換金手数料なし>シリーズに追随したことになり、いずれも信託報酬は資産クラス最安値に並ぶことになります。この辺りは、“常に業界最低水準のコストにこだわる”という「eMAXIS Slim」のコンセプトが徹底されています(最安値を更新するのではなく、横並びにつける点も含めて)。いずれもひと昔前なら考えられないような低コストですから、ここ数年のインデックスファンドの低コスト化は素晴らしい水準にまで至ったことになります。
さて、ニッセイAMの<購入・換金手数料なし>シリーズに続いて「eMAXIS Slim」も信託報酬の引き下げに動いたことで、やはり気になるのは他の競合ファンドの動きです。はたしてアセットマネジメントOneの「たわらノーロード」や大和証券投資信託委託の「iFree」が動くのかどうか。ここ最近の低コスト競争は明らかに<購入・換金手数料なし>シリーズと「eMAXIS Slim」が牽引していますから、ここで「たわらノーロード」と「iFree」が動けないようだと、低コスト競争も新たな局面に入るかもしれません。
それはインデックスファンドの低コスト競争という“トーナメント”も、いよいよ“準決勝”から“決勝戦”の段階に移行したのかもしれないということです。そして、その決勝戦はニッセイAMの<購入・換金手数料なし>シリーズと「eMAXIS Slim」によって戦われるということになりそうです。ちなみに、ここでインデックスファンドの低コスト競争をトーナメント戦に例えたのには理由があります。インデックスファンドというのは信託報酬の多寡以外で差別化することが極めて難しい商品であり、このため信託報酬が最安値の商品しか最終的には生き残れないという厳しい現実があるからです。いよいよインデックスファンドの低コスト競争も最終決戦の段階に入ったのかもしれません。
※ところで、インデックスファンドの低コスト競争をリードする<購入・換金手数料なし>シリーズと「eMAXIS Slim」ですが、その信託報酬引き下げのメカニズムと意味には微妙な違いがあります。ここにきてその違いがやや鮮明にになってきたような気がします。この点については別稿で改めて論じたいと思います。