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2018年7月16日

就職氷河期世代は強い―世代別に見る老後の備えへの充足度



ニッセイ基礎研究所が、なかなか興味深いレポートを出しています。家計調査によると、就職氷河期世代は老後の備えへの充足度の面では、それほど悪い数字になっていないそうです。

超就職氷河期世代よりも老後が心配な世代-年代別黒字率の変化に思う(ニッセイ基礎研究所)

なんとなく「なるほど。そうかもしれないな」という印象を持ちました。就職氷河期世代は収入や可処分所得の面で最も恵まれていなかったけれど、だからこそ家計管理や資産形成の面では意外と強さを持っているということです。

ニッセイ基礎研究所のレポートによると、生年別に15年間の年代別可処分所得の変化の影響を確認したところ興味深いことが分かりました。年代別に消費支出、可処分所得、それらの黒字の対前年増減額を算出し、生年別に15年間の増減額の総和を求めたところ、可処分所得は1970年代中盤(まさに就職氷河期ど真ん中の世代)が最もマイナスの影響を受けていることが分かります。ところがこの世代は消費支出の減少額も小さい。つまり、可処分所得に恵まれていなかったがゆえに、最初から筋肉質な消費傾向になっている可能性があるのです。

その結果、可処分所得の増加額で最も恵まれていないはずの就職氷河期世代が、可処分所得から消費支出を引いた黒字額が意外と大きいということ分かります。つまり、老後の備えなどへの充足度は意外と高かったわけです。一方、黒字のマイナス幅が累積している1970年代初期に生まれた人の充足度が最も低いことになります。この結果を受けてレポートは次のようにまとめています。
超就職氷河期世代や、最も可処分所得低下の影響を受けた世代は不遇だ。しかし、バブルの余韻を経験し消費に貢献したキリギリス世代より、消費支出を抑えている不遇なアリ世代の方が、老後の備えという面でまだ良さそうだ。
私は1976年生まれで、一浪してしているので大学卒業が1996年、大学院の修士課程を終えて社会人(とはいえフリーターでしたが)になったのが2000年です。つまり、就職氷河期ど真ん中世代にあたります。なので、このレポートを読んで非常に納得しました。「さもありなん」と思ったのです。これは良い悪いの問題ではなく、私たち就職氷河期世代というのは、そういうふうにしなければ生き延びることができなかった世代だということです。社会に出たとき、従来の世の中の仕組みが一変していて、そこはまさに世紀末の荒野だったからです。

「北斗の拳」で例えると、就職氷河期世代というのは、まさに“199X年”以後を生き延びてきた世代です。不況の炎に包まれた後の世界で生き延びるには、自分の拳ひとつで戦うしかない。そういう奇妙な覚悟がこの世代にはあります。だから、就職氷河期世代ながら現在それなりの資産を築いている人というのは、やはり自分の拳を磨いてきた人たちなのです。北斗神拳や南斗聖拳は継承していなくても、泰山流や崋山流ぐらいの使い手はゴロゴロいる。少なくともモヒカンの雑魚ぐらいは瞬殺する使い手たちです。

だから、今回のレポートを読んで少しだけ心強く感じました。就職氷河期世代は不遇だけれども、強い。恐らく今後、日本で資産形成・運用、そして本当の意味での投資といったものが普及するとしたら、その先頭に立って時代を切り開くのは就職氷河期世代の使い手たちではないかという確信めいたものを感じたのでした。

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