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2018年7月12日

野村證券が謝罪するぐらい酷い営業が行われていたのだろう



野村證券が奇妙なリリースを発表しています。

「NEXT NOTES S&P500 VIX インバース ETN」早期償還後の対応について(野村證券)

今年2月に起こったいわゆる“VIXショック”で上場ETN信託受益証券「NEXT NOTES S&P500 VIX インバース ETN」がいきなり-96%も暴落して早期償還されてしまったことに関して、野村證券が販売時のリスク説明が不十分だったと謝罪しています。あの野村證券が謝罪するとは珍しい。それほど酷い営業活動が行われていたということでしょう。

VIX(恐怖指数)はシカゴ・オプション取引所がS&P500を対象とするオプション取引のボラティリティを元に算出しているもので、数値が高いほど投資家が相場の先行きに不透明感を持っているとされます。今回、問題になったETNはVIXをショートする商品であり、指数が低下すれば基準価額は上昇し、逆に指数が上昇すれば基準価額が低下する仕組みとなります。

通常、VIXは10~20の間で推移しているのですが、今年2月5日に米国株市場の急落を受けて急騰しました。このため「NEXT NOTES S&P500 VIX インバース ETN」は6日に何と一瞬で基準価額の騰落率が-96%に。始値で29000円を超えていたものが、終値はなんと1146円です。おまけに、このETNは基準価額が前日終値の20%を下回ると繰上償還される特約になっていたので、受益者はこの終値で強制的ロスカットされることになりました。このあたりの事情は以下の記事が詳しいです。

上場投資証券「VIXベア」(2049)、1日で価値9割消失 米株の急落受け(QUICK)
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これ自体がオプションの売りがどれほどハイリスクなのかを示す事例なのですが、興味深いのはこのETNの販売に関して野村證券に多くの苦情が寄せられるトラブルに発展し、遂には野村證券が公式に謝罪するにまで至ったことです。あの野村證券が謝罪するとは驚き。いったいどんな酷い営業が行われていのかと思っていたら、やはりネットの掲示板などで内幕の一部が暴露されていました。

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まあ、ネットの書き込みですから話半分としても、野村證券が実際に謝罪しているのですから、恐らくVIXもインバースも、あるいはETNについても全く理解していない個人投資家に大々的に販売して、大変なトラブルになっているのでしょう。

こうした事例は日本の投資業界における二つの問題点を象徴しています。まずは投資家サイドの問題で「理解できないものに投資してはいけない」という大原則が相変わらず軽視されているということです。そもそもオプション取引に関する金融商品など、普通の個人投資家が買うようなものではありません。だから、このETNで損失を被った人は、たとえ野村證券の営業マンに勧められたからだとしても、やはり自己責任なのです。

ただ一方で野村證券にも大いに問題がある。それは、こういった商品を一般の個人投資家に対して大々的に販売することが適合性原則に適っているのかということです。適合性原則に反していたからトラブルになっているし、野村證券も謝罪することになっているわけです。結局、日本でいまだに投資トラブルが頻発するのは金融機関が適合性原則というのもを軽く見ているからではないか。そして、その確認も形骸化しているわけです。

こういう状態が続いているから、あいかわらず日本では投資という行為が市民権を得ることができないのです。それは個人投資家だけでなく金融機関にとっても不幸なことでしょう。今回、野村證券は形式的でも己の非を認めたわけですが、金融機関全体でも真摯にこの問題について考えて欲しいものです。

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