2018年4月11日

日本の投資業界は“修羅の国”か―金融機関の悪行に呆れる



日本では金融機関による強引な営業手法がたびたび話題になります。法令違反ではないにしても、個人顧客を食い物にするあまりにもひどいハメ込みが横行し、それが投資という行為を庶民から縁遠いものにしてしまうという悪循環が続いていきました。最近は少しはマシになったのかと思っていましたが、またもや驚愕の事件が起こっています。あいかわらず金融機関の悪行に呆れる。日本の投資業界というのは、まるで「北斗の拳」に登場する“修羅の国”ですか。

ニュースサイトの情報によると、野村證券がまたやらかしたようです。遺産相続の手続きで食い込んだ個人顧客に対して異常なまでの過当取引を行わせたとか。

野村証券営業マンが「過当取引」、70代顧客が提訴 短期間で資産の大半消失、損失の3割は「手数料」(アウトサイダーズ・レポート)

経済ゴシップサイトの情報ですから話半分だとしても、これはあまりにもひどい。5000万円の顧客資産の大半を消失させた上に、損失額4700万円のうち1300万円は手数料だったというのですから開いた口がふさがりません。しかも、ここまで事態が悪化しても損失額を顧客には伝えず、不審に思った顧客の親族から問い詰められて出た言葉が「やりすぎました」。可哀想に70代の顧客は損失額を知らされて鬱状態になったそうですから、もはや金銭的な損失だけでなく、人格破壊にまで及んでいます。

もちろん投資の世界は自己責任が原則ですから、野村證券の営業マンの口車に乗った顧客に責任がないわけではありません。狡猾な野村證券のことですから、コンプライアンス上の手続きも形式的には完璧に処理しているのでしょう(だから顧客が申し立てた証券・金融商品あっせん相談センターのあっせんでも「担当者が申立人から得た約定は全て正規の約定と認識」しているとして金銭和解を拒否している)。しかし、実際の取引内容を見ると、とても70代の顧客が取引内容を理解していたとは思えない。そうなると「適合性原則」はどうなるのか。大いに疑問が残ります。なにより、このニュースを読んだ一般の人の“常識的判断”は如何。「野村證券、やべー」と思うのが自然だし、この営業マンに対しては「てめえらの血はなに色だーっ!! 」と言いたい。

そんなことを考えていたら、また別のニュースが入ってきました。シェアハウス「かぼちゃの馬車」などを運営していたスマートデイズが民事再生法を申請しました。

スマートデイズ、民事再生法申請 シェアハウス社会問題化(SankeiBiz)

スマートデイズに関してはサブリース(一括借上)契約による家賃収入保証をうたい文句に、個人に多額の借入をさせて物件を購入させる手法が疑問視されていました。その後、家賃支払いの停止が物件オーナーに通告され、物件オーナーには多額の借入金だけが残されるという問題が顕在化していたのですが、いよいよ最悪の結末を迎えたようです。安易に不動産投資を始めて多額の借金を背負ってしまったオーナーは自業自得ともいえるのですが、やはり素人を食い物にするやり方だとも言えるし、なによりオーナーへの融資を担ったスルガ銀行とグルになってのハメ込み臭がなんとも不快です。

こういうニュースを聞くと、日本の投資業界というのは、なんなんだろうと思ってしまう。もちろん一義的には、投資をよく理解せずに証券会社の営業マンの口車を信じたり、安易な気持ちで借金による不動産投資をしてしまった個人の責任ということになります。しかし、そういう不注意の結果が、全財産を失って鬱状態になったり、多額の借金を背負う状態に追い込まれるほどに痛めつけられないといけないことなのか。なにより金融機関や業者が不注意な個人をとことん食い物にするような行為が横行しているわけです。ここは“修羅の国”ですか? 

結局、こういった日本の投資業界のありかたが、庶民にとって投資を縁遠いものにしてしまったのです。あたり前の話で、こういったニュースを聞けば、普通の人は「投資って怖い」「証券会社は個人をハメ込む」と思うのが自然です。最後には「投資なんかしてはいけない」とさえなる。そうやって日本の金融機関は、自ら自分の市場をペンペン草も生えない状態にしようとしているのです。

いま、日本では「貯蓄から投資へ」、あるいは「安定した資産形成」の掛け声の下、投資を一般庶民にも普及させることが大きな課題になっています。しかし、肝心の金融機関や業者が、いまだにこのような悪行を繰り返しているようでは、絶対に投資は普及しない。誰だって修羅の国になんか渡りたくないのです。その意味で、本当の意味で日本の投資業界全体が真摯に反省し、行いを改めることが必要だと強く指摘したい。

ちなみに、「投資には勉強が必要か否か」という問いに対して、今回のようなニュースを聞くと「絶対に必要だ」と言いたくなります。それは儲けるためではありません。金融機関や業者の魔の手から我が身を守るために必要なのです。日本の投資業界は、いまだ“修羅の国”です。勉強もしない状態では、上陸した瞬間に名もなき修羅に瞬殺されてしまうのです。

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