サテライトポートフォリオで少額だけ積み立て購入しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2018年3月次運用報告が出たので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の3月の騰落率は-3.35%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は-4.28%でした。引き続き世界的な株価下落の中で、なんとか下落幅を参考指数よりも小さく抑えることができるなど、参考指数をアウトパフォームしました。ただ、依然として相場動向は不安定な状態です。ピクテのレポートを読んでも、悪材料と好材料が入り混じっており、まったく方向感が見えません。
3月はトランプ米大統領による鉄鋼・アルミへの関税措置表明などで貿易戦争への懸念が広がったことや、やはり米国の国務長官解任など政治リスクが高まったこと、さらにはFacebookの個人情報漏洩疑惑など悪材料が重なったことで世界的に株価は下落傾向となりました。業種別では、公益が上昇し、エネルギーや生活必需品、電気通信サービスなどは市場平均よりも小幅な下落となりましたが、素材や金融、情報技術などは下落率が大きくなるなど、市場のマインドが保守化していることをうかがわせます。
やはり2017年とはうってかわって18年の株式相場は波乱要因が多い。受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」2018年4月号を読んでも、好材料と悪材料が入り混じっており、まさに「激流の中を進む」という表現がぴったりです。企業収益への期待は依然として好材料ですが、インフレ懸念や金利上昇リスクが悪材料。そもそも17年までの相場絶好調でバリュエーション的に株価の上値に限界があると見られることで、政治的要因も含めたネガティブサプライズに対して相場全体が脆弱になっているように感じます。
そんな中、個人的にも気になるのが情報技術セクターの行方です。ここ数年、米国株の上昇を牽引してきたFANG(Facebook、Amazon、Netflix、Google)といった情報技術銘柄ですが、今回のFacebookの個人情報不正流出疑惑をきっかけに、その行く末には困難が待っているかもしれません。ピクテのレポートは次のように指摘しています。
テクノロジー企業に対する規制の強化や、米国と中国の間の貿易摩擦の激化に対する懸念も情報技術セクターの上値を抑える要因となります。加えて、長期的な見通しこそ明るいものの、株価には既に織り込み済みと思われ、上値余地も限定的と見られます。2017年の株式市場の上昇をけん引したのは情報技術セクターでしたが、行く手には困難が待ち受けていると言えそうです。米国の情報技術企業の収益力というのは極めて強固だと思う。圧倒的な独占的・優越的地位を確保しているからです。しかし、その圧倒的な優越的地位こそが将来の困難を惹起する可能性があるのでは。法規制の可能性です。法規制の強化こそが米国の情報技術セクターの最大のリスク要因だと思う(逆に言うと、それくらいしか大きなリスク要因が見当たらないともいえますが)。その意味で、今回のFacebookの問題と今後の展開は注視するべきかもしれません。
また、今月はピクテの機関投資家向けマクロ経済データ集「Global Macro Watch」の最新バージョンも受益者に配布されました。あいかわらず読んでいて参考になるし面白いです。この辺りも「iTrust」シリーズ保有者のベネフィットです。
【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プラン