2018年2月28日

新興国が素晴らしいパフォーマンス―「世界経済インデックスファンド」の第9期運用報告書を読む



私が積み立て投資のコア商品として愛用している「世界経済インデックスファンド」の第9期(2017年1月21日~18年1月22日)運用報告書が出ました。毎年、海外出張中の時期と重なるのですが、今回もタイでビールなんか飲みながら世界経済全体への投資の成果を確認するというのは、実におつなものです。とくに当期は新興国への投資のパフォーマンスが素晴らしく、私のような「新興国投資大好き人間」からすると「世界経済インデックスファンド」の本領発揮という展開で、じつに楽しい結果となりました。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの「世界経済インデックスファンド」は、これ1本で世界の株式と債券に50:50の比率で投資できるバランス型インデックスファンド。株式と債券はそれぞれ先進国と新興国のGDP比率を参考に配分され、新興国も含めた"世界経済全体の成長"を享受することを狙うコンセプトが非常に面白く、根強いファンがいます。私自身も積み立て投資のコア商品としてかなりの金額を保有しています。

第9期運用報告書によると、当期の騰落率は+16.0%、分配金は今回も無しでした。期中を通じて基準価額は安定して上昇するという素晴らしいパフォーマンスとなっています。2017年は株式、債券ともに極めて良好かつ安定した推移となりましたから、まさに出来すぎと言えるぐらいです。マザーファンドベースのアセットクラスごとの騰落率は以下のようになっています。

国内債券インデックス  +0.3%
国内株式インデックス  +26.0%
先進国債券インデックス +5.0%
先進国株式インデックス +21.7%
新興国債券インデックス +13.5%
新興国株式インデックス +35.5%

すべての資産クラスがプラスとなる素晴らしいパフォーマンスです。こういった年は、めったにありません。いかに17年が恵まれた相場環境だったかということが分かります。とくに株式、債券ともに新興国がプラスリターンを牽引しています。新興国株式の好調に加え、新興国の通貨がしっかりしていることから債券も大幅なプラスリターンに(新興国の通貨がしっかりしているのは、いま居るタイでも実感します。とにかくバーツ高でモノが高い)。数年前までインデックス投資家の間でさえ「新興国投資不要論」が一部で唱えられていたことを思い出すと隔世の感です。

株式では新興国に続いて国内株式のリターンが高かったことも注目です。日本株は一部投資家の間で馬鹿にされているのですが、皮肉なことに当期は先進国株式を上回るリターンとなっています。新興国投資の件と合わせてはっきりしたのは、やはり幅広い地域に分散投資することの重要性です。何に投資するかは投資家の自由ですから、とくに批判はしませんが、「○○への投資は不要」とか、逆に「××への投資だけで十分」といった極端な意見をあまり声高に唱えない方がいいと老婆心ながら指摘したい。後で恥をかく危険性があるからです。

なお、第9期の実質コストは以下のようになりました。

信託報酬 0.543%
売買委託手数料 0.006%
有価証券取引税 0.005%
その他(保管、監査)費用 0.069%
実質コスト合計 0.623%

前期の実質コストが0.631%でしたから、純資産残高の増加に伴って順調に減少しています。実質コストが高くなりがちな新興国の株式・債券にある程度のウエートで投資していることを考えると、なかなか良心的なコストになっていると思います。最近はバランス型インデックスファンドも低コスト化が進み「世界経済インデックスファンド」のコストに特段の割安感はないのですが、同様の資産配分コンセプトを持つ商品がないため、やはりこのファンドの魅力は依然として高いものがあります。やはりバランス型インデックスファンドの魅力は資産配分のコンセプトなのです。

さて、タイ出張も残り2日となりました。今回は土日を挟んでの出張だったので、オフにバンコクの街を堪能したじつに楽しい出張でした。これからタイ出張は率先して行こうという野望に燃えています。そして、バンコクの夜を満喫しながら、ほったらかしで世界経済の成長の果実を享受できるのですから、インデックスファンドによる国際分散投資というのはやっぱり素晴らしい。

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