2017年10月16日

「世界経済インデックスファンド」も「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」もインデックスファンドです



「つみたてNISA」対象商品の分類で「世界経済インデックスファンド」や「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」が「アクティブ運用投資信託等」に分類されたことでインデックス投資家の間で少し混乱が生じているようです。この問題に対してカン・チュンドさんが実に明快な回答を出していました。

世界経済インデックスファンド、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは、ほんとにアクティブファンドなの?(カン・チュンドのインデックス投資のゴマはこう開け!)

私もこういった穏健な見方に大賛成。そもそも「つみたてNISA」対象商品の分類で上記2ファンドが「アクティブ運用投資信託等」に分類されたのは、あくまでテクニカルな要因だと考えるべきです。

すでに問題の本質はカンさんが全て述べているので繰り返しませんが、基本的にバランス型インデックスファンドというのは資産配分が時価総額加重平均だろうがGDP比例だろうが均等配分だろうが、特定の配分を選択している段階で既に運用会社の恣意性が入ります。それは悪いことではありません。逆にこれこそがバランス型インデックスファンドのコンセプトであり、面白さです。

このときのポイントは、資産配分の基準がきちんと明示・固定されていることです。それが「時価総額加重平均」であったり「GDP比例」であったり「均等配分」であるわけですが、この基準が運用中に変化しないことが重要。その上で、投資対象がきちんとしたインデックス運用のマザーファンドであれば、それはバランス型インデックスファンドといって差し支えない。資産配分の基準がきちんと明示・固定されていれば、そこから若干のアレンジが加えられるのは、それこそカンさんが指摘するような「調整作業」です。それによって運用の性格が基本的に変化しているわけではないですから、それが"アクティブな判断"だとしても、その"アクティブさ"は資産配分決定時の"アクティブさ"と比べればまことに小さなものでしょう。

だから「つみたてNISA」対象商品で「世界経済インデックスファンド」や「セゾン・バンガード・グローバル・バランスファンド」が「アクティブ運用投資信託等」に分類されたのは、単に「つみたてNISA」対象商品の「指定インデックス投資信託」に当てはまらなかっただけ。金融庁は「指定インデックス」による運用でわずかな調整も認めていないからです。しかし、「指定インデックス投資信託」以外はすべてアクティブ運用投資信託なのかといえば、そうではありません。金融庁の分類は「アクティブ運用投資信託」ではなく「アクティブ運用投資信託」となっていることに注目してください。この「等」に「指定インデックス投資信託」からはみ出したバランス型インデックスファンドが含まれる理解するべきでしょう。そうでなければ「等」という字句を入れる意味がないのですから。

だから「世界経済インデックスファンド」や「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」が「指定インデックス投資信託」ではなく「アクティブ運用投資信託」に分類されたのは、あくまでテクニカルな要因です。特段に気にする必要はない。両ファンドともインデックスファンドの一種だと解釈して問題ないのです。

では、なぜ金融庁は「つみたてNISA」対象商品の「指定インデックス投資信託」でこれほど厳密な規定を盛り込んだのでしょうか。ここからはあくまで私の個人的な解釈ですが、恐らく金融庁にはある種の思惑があったのだと思う。それはバランス型インデックスファンドと似た商品であるフレキシブルアロケーション型バランスファンドを「指定インデックス投資信託」から排除したかったのではないかということです。

フレキシブルアロケーション型バランスファンドというのは、異なる複数の資産クラスのマザーファンドへ投資するバランスファンドの一種です。この場合、投資対象のマザーファンドはインデックスファンドのケースも多い。その場合は一見、インデックスファンドのように見えますが実態は異なります。この種のファンドは資産配分の基準が明示・固定されておらず、市場動向に応じてファンドマネージャーが"フレキシブル"に資産配分を変更します。例えばリスクオフだと判断すれば債券クラスを大幅にオーバーウエートし、リスクオンだと判断すれば株式クラスをオーバーウエートするといった運用を行います。これは投資対象がインデックスファンドだとしても、資産配分変更による運用は完全にファンドマネージャーの判断にに基づくものですから、文字通り「アクティブ運用」のファンドとなります。

フレキシブルアロケーション型バランスファンドが有効なのかどうかは意見の分かれるところです。しかし少なくとも資産配分変更を通じたアクティブ運用投資信託であることには違いはない。なので金融庁は、これを「つみたてNISA」対象商品として認める場合にアクティブ運用投資信託の規定を適用したかったのでしょう。そのためには「指定インデックス投資信託」の規定で資産配分の変更に関する条件を厳密化するしかありません。これこそが「つみたてNISA」対象商品の分類に「アクティブ運用投資信託」という微妙なカテゴリーが採用された理由ではないでしょうか。

もちろん、これは私の勝手な憶測に過ぎません。しかし、「つみたてNISA」対象商品というのは、その規定自体に金融庁の様々な思惑が込められています。それはあくまで政策面での判断に基づくテクニカルなものです。だから、あまりそれによってファンドの性格を一概に判断してはいけないと思う。ファンドの本質というのは金融庁の政策的判断とは別に存在しているのですから。

【追記】
金融庁の中の人とおぼしき人物がツイッターで公式見解を出しています。やはり「つみたてNISA」対象商品で「アクティブ運用投資信託等」に分類されるのは、単に「指定インデックス投資信託」ではないというだけで、すべてがアクティブ運用投資信託ではないとのことです。

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