2017年9月1日

静かなスタートをきった「iFree S&P500インデックス」



大和証券投資信託委託の低コストインデックスファンドシリーズ「iFree」に新たに「iFree S&P500インデックス」が8月31日付で設定されました。米国株指数として本筋ともいえるS&P500指数(円ベース)に連動するインデックスファンドであり、信託報酬(税抜)0.225%と極めて良心的な商品の登場です。米国株にオーバーウエートして投資したいインデックス投資家にとって有力な選択肢となるファンドだと思います。ただ、販売会社がまずはマネックス証券からというのはやや意外でした。恐らく今後、他のネット証券でも販売が始まるでしょうが、やはり米国株に強いマネックスが積極的だったということでしょうか。その意味で、意外と静かなスタートを切ったという印象を受けています。
(追記:SBI証券でも販売が始まりました。9月8日から楽天証券でも取り扱いが始まります。)

米国株のインデックスと言えば、ダウ工業株平均が一般的には有名ですが、じつは米国の投資の世界ではS&P500が本筋とされています。ダウ平均がS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が選出した30銘柄の平均株価として算出されるのに対して、S&P500は米国の有力大型株500銘柄の時価総額加重平均指数です。このため、より米国株の実態を表していると考えられています(ちょうど日本だと日経平均株価とTOPIXの違いのようなものです)。

米国では極めてスタンダードな指数としてS&P500に連動するETFやインデックスファンドが多数存在するのですが、なぜか日本ではほとんど設定されてきませんでした。日本でS&P500に投資するには、日本市場に上場している外国籍ETFを購入するか、あるいは直接に海外ETFを購入するぐらいしか方法がなかったのです。インデックスファンドではブラックロック・ジャパンの「i-mizuho米国株式インデックス」がありますが。これは実質的に海外ETF「iShares Core S&P 500 ETF」に投資するファンド・オブ・ファンズ形式で運用が続けられています。

こうした中で登場したのが「iFree S&P500インデックス」ですから、米国株にオーバーウエートしたポートフォリオを組みたいインデックス投資家にとってはかなり注目のファンドなのです。コストも極めて低廉なのが素晴らしいです。ETFと比べれば、まだコスト最安値とはなりませんが、金額購入や積立購入の面で利便性が高いのです。まずはマネックス証券で販売が始まりましたが、ぜひとも他のネット証券でも順次取り扱いを広げていって欲しいと思います。

ただ、注意点もあります。新規設定のファンドは信託報酬とは別に実質コストがどうなるのかが決算を迎えるまで分からないこと。とくに「iFree S&P500インデックス」はマザーファンドも含めて新規設定のようですから、より慎重に実質コストの推移を見守る必要があるでしょう。ちなみに「i-mizuho米国株式インデックス」の直近決算(2017年5月期)の実質コストは0.634%でした。これに投資対象ETFである「iShares Core S&P 500 ETF」のコスト0.04%を加えても0.674%程度となります(海外ETFに投資する方法は、コストを抑えるのに意外と有効なのです)。これを実質コスト面でどの程度まで下回ることがことができるかで「iFree S&P500インデックス」の競争力も明らかになると言えそうです。

関連コンテンツ