2017年6月1日

「eMAXIS JPX日経中小型インデックス」は面白い―日本の中小型株投資はスクリーニングが絶対に必要



三菱UFJ国際投信が6月12日に「eMAXIS JPX日経中小型インデックス」を新規設定します。

『eMAXIS JPX日経中小型インデックス』募集・設定について(三菱UFJ国際投信)

日本の中小型株を対象とした本格的なインデックスファンドの登場ですし、信託報酬も税抜0.4%と比較的低廉。ポートフォリオの味付けとしてなかなか面白い商品だと思います。とくにJPX日経中小型株指数をベンチマークにした点も評価できるのでは。というのも日本は新興市場を含む中小型株に投資する場合、銘柄のスクリーニングが絶対に必要だと感じていたからです。

インデックス投資をする場合、一般的な指数をベンチマークとするインデックスファンドでは、どうしても大型株中心のポートフォリオになってしまいます。一方で株式投資のある種の経験則として、中小型株の方がリターンが高くなりやすい(いわゆる“小型株効果”)という現象があります。そこでポートフォリオの分散を高度化することも含めて中小型株にもインデックスファンドで投資したいというニーズは一部で古くからありました。

ところが中小型株を投資対象としたインデックスファンドというのは意外と少ないものです。このため(私の場合もそうですが)、中小型株に投資するためにややコストが高くなるのは承知でアクティブファンドを購入するというケースが少なくありませんでした。そんな中で「eMAXIS JPX日経中小型インデックス」が登場するわけですから、ある意味で待望の低コスト日本中小型株インデックスファンドの登場と言えそうです。

また、投資対象指数が一般的な市場別時価総額加重平均指数ではなく、JPX日経中小型株指数というスマートベータであることも、この場合は好感を持ちました。JPX日経中小型株指数については、日本取引所グループのサイトに詳細が載っており、組入れ銘柄も全て公表されています。

JPX日経中小型株指数(日本取引所グループ)

これによるとJPX日経中小型株指数は東証一部・二部、マザーズ、JASDAQ上場銘柄から適格基準、時価総額、売買高、ROEなどを基に200銘柄を選定して算出されます。こうしたスマートベータは、ある意味では「バックミラーを見ながら車を運転するようなもの」として批判される場合もあるのですが(実際にそういった側面が大いにあります)、すくなくとも中小型株に関しては有効だと思う。なぜなら、日本の中小型株市場というのは魑魅魍魎の世界で、とても単純な時価総額加重平均型のインデックスに基づいて投資するべき市場ではないと個人的に思っているから。ある程度のスクリーニングが絶対に必要なのです。

これは以前にもブログで書いたのですが、とにかく日本の新興市場というのはひどいもので、反社が一般人から資金を巻き上げるための道具にしているとしか思えない「ハコ企業」が放置されていたりします。また、東証二部はシャープが降格したことで、そのウエートがものすごく大きい。近々、東芝も東証二部に降りてきて、これまた凄いウエートになります。こういったいびつでだらしのない市場では、一般的な時価総額加重平均型のインデックスでの投資というのは好ましくない(関連記事:「ひふみ投信」を買う理由―日本の新興株への投資は実力のあるアクティブファンドを活用するしかない)。

こうしたことを考えると、JPX日経中小型株指数はきちんと投資適格かどうかをスクリーニングした上で組入れウエートの上限として1.5%キャップ付きですから、かなり安心して投資することができるでしょう。だから「eMAXIS JPX日経中小型インデックス」も、けっこう人気が出るのではないでしょうか。

もっとも、インデックス投資の基本は幅広く分散投資することです。ですからポートフォリオの日本株式クラスも基本はTOPIXをベンチマークとするファンドをコアに置くのが本筋です。また、中小型株はどうしても流動性に限界がありますので、相場環境が悪化すると下げもきつく、あまりウエートを高めてしまうとポートフォリオのリスクが高まってしまうのです。それを分かった上で、ポートフォリオに占める日本株式ウエートの一部に中小型株ファンドに割り当てるのは、分散戦略としては一つの見識です。そうした投資戦略を実行する際に「eMAXIS JPX日経中小型インデックス」は非常に便利な商品になるのではないでしょうか。

そんなわけで、非常に面白い商品が登場したと思います。ちょっと食指が動かされました。ただ、私個人としてはすぐに飛びつくのは止そうとも思う。というのも、JPX日経中小型株指数をベンチマークとするインデックスファンドというのはアイデアとして有力ですから、eMAXISが成功すれば他の運用会社も追随して類似ファンドを設定してくる可能性があり、その信託報酬がどうなるのかを見てみたいから。もしeMAXISよりも低コストなら、そのファンドの方が有力な商品になります。そして他の運用会社がより低コストな競合ファンドを打ち出してくると、三菱UFJ国際投信の場合は切り札である「eMAXIS Slim」に類似ファンドを投入してくる可能性もあります。そもそも設定直後のファンドに飛びついてはいけないというのは大原則ですし、運用会社間の競争の動向も見極めた上で購入を検討すればいいというセコい考えを持っているのです。
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