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2017年5月30日
「iTrust世界株式」第1期運用報告書を読む
サテライトポートフォリオとして少額ですが積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の第1期運用報告書が出ました。第1期は設定初年度ということもあり2016年2月19日~2017年4月10日までの変則決算なので実質コストなどは参考値として見る必要があります。ファンドの騰落率は+13.9%、参考指数であるMSCIワールド指数(ネット配当込み)の騰落率は+20.8でした。残念ながら前期は参考指数を大きくアンダーパフォームしたことになります。昨年11月からのトランプ相場に追随できなかったことが敗因と言えるでしょう。
期中の基準価額と参考指数の推移を見ていると、期前半までは参考指数に対して若干のアンダーパフォームで追随していたのですが、11月からのとトランプ相場で大きく水をあけられてしまいました。要因としてはポートフォリオの性格があったと考えられます。iTrust世界株式の組入れ上位銘柄を見るとアップル、アルファベット、フェイスブックといった銘柄が上位にありますが、トランプ相場の初動では、こういったインターネットサービス系のグロース株の値動きが鈍く、一時的に大きく下落したりもしました。この辺りが参考指数に対してアンダーパフォームした要因と言えそうです。ただ、これら銘柄は期終盤でかなり値を戻しましたので、ここ最近の運用好調の要因にもなっています。その意味では今後に期待にしたいと思います。
さて、気になる実質コストですが、以下のような結果になりました(いずれも税込)。
信託報酬:1.095%
売買委託手数料:0.042%
有価証券取引税:0.038%
その他(保管・監査・その他)費用:0.137%
実質コスト合計:1.312%
第1期は14カ月超の変則決算となりますので高めの数字が出ていますが、12カ月換算するとアクティブファンドとしてはまずまず低コストでの運用ができたと思います。ポートフォリオの回転率を示す売買高比率は1.33でした。やはり相場のキャラクターが大きく変わった年度でしたから、1を超える数値になるなどやや忙しい運用だったということが伺えます。実質コストと合わせて、こうした数値も今後どのように推移していくのか注視していきたいと思います。
第1期は残念な運用成績となってしまいましたが、少なくとも低コストでの運用は実行できていることは確認できました。これは長期的には必ず運用成績にプラスに働くと思います。いずれにしてもアクティブファンドの運用成績というのは1年2年といった短期で考えるべきものではないと考えていますから、今回の結果を踏まえて今期こそは頑張って欲しいと思います。
それと少しだけ注文を付けると、運用報告書の内容がやや薄味なのも気になります(これは月報にもあてはまります)。もう少し運用の中身や分析、今後の運用方針について詳細に記述してくれると受益者としても運用報告書を読む意欲がわいてくるというもの。「iTrust」シリーズは受益者専用サイト「iInfo」を通じた充実した情報発信が魅力ですから、これを月報や運用報告書でも生かして欲しいものです。こういった点も今後改善されることを期待します。
【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プラン