すでにブログで何度も書いているように私は現在、SBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)プランに加入しています。その加入者サイトが1月1日にリニューアルされました。運営管理の実務を担うSBIベネフィット・システムズがサイトを運営していて、従来はいかにも低コストらしい殺風景なサイトでしたが、リニューアルしたということで早速ログインしてみました。トップページが開いた瞬間、「おお、ビジュアルで見やすくなった!」と感動したのですが、しばらくして「あれ?」「あれれ?」となってしまいました。うーん、はっきり書きます。リニューアルしたSBI証券のiDeCo加入者サイトには重大な欠陥があります。なんと、現在保有している商品の保有比率がどこにもの表示されていないのです。これはあまりに不親切な設計です。【一部内容を追加しました】
リニューアルされた加入者サイトでは、トップページに現在の資産評価額や損益などが表示され、従来よりも大幅に見やすくなりました。そして現在の保有資産の構成比率が商品別の数字とともに「資産クラス」ことに色分けされた円グラフで表示されます。私の場合、以下のような表示になりました。
問題はここです。「資産クラス」ごとの構成比は表示されるのですが、商品ごとの構成比のデータがありません。そこで「資産残高を詳しく見る」をクリックして驚きました。次のような画面が現れたからです。
やっぱり商品ごとの構成比のデータがない。私の場合、例えば「EXE₋i新興国株式ファンド」と「DCニッセイ外国株式インデックス」を購入していますが、サイトで表示されるのは両者を合計した「海外株式」の構成比だけです。もしかしたらほかのページに商品ごとの保有比率が表示されているのかと思い、いろいろとクリックしてけれども、どこにもない。
これでは現在保有している各ファンドの保有比率がどうなっているのか確認するために、自分で資産残高から計算しなければならない。あまりに加入者に不親切な設計ではないか。じつはリニューアル前のサイトでは商品ごとの保有比率が表示されていました。こんな重大な情報が一覧できなくなるのでは、何のためのリニューアルですか。とんでもない改悪です。
なぜ保有する各ファンドの保有比率の情報が必要なのかといえば、それこそがポートフォリオ管理の最も重要な情報だからです。異なる資産カテゴリーでポートフォリオを組む場合、最初に理想とする構成比率を決めます。そして現状の構成比率がそこから乖離していないかを定期的に確認することがポートフォリオ管理の第一歩です。もし乖離を確認したら、そこでリバランスしなければなりません。
そう考えると、リニューアル後のSBI証券のiDeCo加入者サイトの資産カテゴリーの分け方が不親切。「海外株式」「海外債券」といった分け方がなされていますが、同じ「海外株式」「海外債券」でも「先進国株式」と「新興国株式」、「先進国債券」と「新興国債券」は全く別の資産カテゴリーとして考えるべきです。そして加入者がポートフォリオを組む場合、1資産カテゴリーに1商品をあてがうのが普通です。そうしないと資産カテゴリーの構成比率の管理とリバランスが不便だからです。ここに商品ごとの保有比率のデータが重要である理由があります。
例えば先進国株式ファンドが10%値上がりし、新興国株式ファンドが10%値下がりしていれば、先進国株式ファンドを10%売却して、新興国株式ファンドを10%購入するというスイッチングを行い、リバランスする必要がある。ところがリニューアル後のSBI証券のiDeCo加入者サイトでは「海外株式」というカテゴリーでしかポートフォリオの構成比率を一覧できませんから、新興国株式ファンドと先進国株式ファンドでリバランスが必要なのかどうかをすぐに確認できない。これは大変な不便を加入者に課すことになります。はっきり言って重大な欠陥です。
SBI証券のiDeCo加入者はサイトの改善を求めて声を上げよう
私はSBI証券のiDeCoプラン加入者の一人として、こんなひどい欠陥を許容することはできません。そこで早速、加入者サイトのメールフォームを通じてSBIベネフィット・システムズに改善を求めるメールを出しました。メールでもはっきりと商品ごとの保有比率が一覧できないのは「欠陥」だと指摘しました。もしこの記事を読んでいただいた方の中にもSBI証券のiDeCoプランに加入している人がいれば、ぜひ同じようにメールや電話で直接改善を求める声を上げて欲しいと思います。
iDeCoは60歳まで原則換金できませんから、運営管理金融機関とは長い付き合いとなります。他の金融機関のプランに移換することも可能ですが、移換手数料や移換手続きに伴う時間的ロスを考えると、安易に移換すべきでもない(これは実際に移換を経験した実感です)。
だとするならば、iDeCo加入者は自分が加入しているプランの運営管理機関に対して、より良いシステムを提供するように直接要望し、改善を求め続ける必要があると思うのです。そうした声が多く寄せられれば、運営管理機関も無視できなくなるでしょう。おりしも現在、iDeCo加入対象者の拡大で金融機関の競争も激化していますから。とにかく金融機関に対して言うべきことは言わないといけない。
そしてSBI証券とSBIベネフィット・システムズに対して、このブログを通じても改めて加入者サイトの改善を強く求めます。こんな欠陥サイトを放置するようでは、恐らく同社が目指しているiDeCoトップシェアなどは不可能です。他社のサービスは、どんどんと改善しているのですよ。せっかく手数料水準や商品ライアンアップで良心的なプランを用意しているのですから、その努力を無駄にしないで欲しいのです。
※加入者サイトのページ右上にある「お問い合わせ」をクリックすると、メールフォームから簡単にメッセージを送ることができます。