2017年1月21日

インデックス投資の知識は、ある日突然に必要となる―2017年1月の個人型確定拠出年金(iDeCo)積立と運用成績



ドナルド・トランプ氏が第45代の米国大統領に就任しました。いろいろと評価が分かれる人物なわけですが、米国の大統領というのは一国のリーダーであると同時に、世界のリーダーの一人でもあります。ぜひ頑張って欲しいと思います。国際分散投資をしている者としては、今年も世界経済が平穏であって欲しいと願わずにはいられません。そんな中、2017年の最初の投資としてSBI証券のプランで拠出している個人型確定拠出年金(iDeCo)の買い付けが約定しました。拠出開始来の累積リターンは+8.7%となっています(1月20日現在)。ところでiDeCo、盛り上がってるんですかね。投資クラスターの間では話題沸騰ですが、世間一般からすればまだまだマイナーな存在なのかもしれません。ただ、企業型も含めると確定拠出年金は日本人の間でインデックス投資が普及するきっかけになるということを実感する出来事もありました。インデックス投資の知識はある日突然に必要となる時代なのです。

現在、買い付けているファンドは以下の通りです(カッコ内は税抜信託報酬)。

【個人型確定拠出年金(SBI証券iDeCoプラン)】
三井住友・DC日本株式インデックスファンドS(0.19%)
DCニッセイ外国株式インデックス(0.21%)
EXE-i新興国株式ファンド(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.142%程度)
EXE-iグローバル中小型株式ファンド(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.124%程度)
インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)(0.26%)
三井住友・DC外国債券インデックスファンド(0.21%)
三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド(0.52%)
EXE-iグローバルREITファンド(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.138%程度)

昨年11月から始まった“トランプ・ラリー”も、ここにきてやや一服となったことでiDeCoの残高も横ばいで推移しています。トランプ氏が正式に大統領に就任したことをきっかけに、“トランプ・ラリー”第二弾となって欲しいものです。

さて、私は以前から確定拠出年金こそ日本でインデックス投資がメジャーになる契機となると思っていたのですが、それを実感する出来事が身近でありました。先日、弟から突然に「確定拠出年金について教えてくれ」と言われたのです。弟は東証2部上場の中堅企業のサラリーマンですが、なんでもこれまで勤務先が加入していた厚生年金基金が解散することになり、企業年金の部分が企業型確定拠出年金に移行するそうです。

厚生年金基金は、国民年金・厚生年金に上乗せされる3階部分として確定給付型の企業年金の役割を担っていますが、長引く株価低迷や金利低下で多くの積立金不足が深刻化しています。積立金不足は加盟企業が補填しなければならないので企業にとっては頭の痛い問題でした。ところがここ数年の株価上昇で、ようやく積立金不足が解消するケースが増えています。そこで今がチャンスとばかりに多くの厚生年金基金が解散を決めており、加盟企業は企業年金の部分を企業型確定拠出年金へ移行させているわけです。

弟は個別株を少し持っている程度で、特段に資産運用については詳しくありません。それが突然、確定拠出年金で自分で年金資金を運用しろと言われてもチンプンカンプン。そんなとき、兄貴がiDeCoなるものをやっていたことを思い出して質問してきたわけです。さっそく確定拠出年金の仕組みを簡単にレクチャーした上で、「元本保証商品で運用しても構わないが、それだと以前に加入していた確定給付型の厚生年金基金の予定利回りを大幅に下回る可能性が大きく、給付額が減ってしまう。損する可能性もあるが、多少はリスク性商品を組み込んだポートフォリオで運用することも考えるべき。その際、インデックス投資という方法で運用するのが世界の年金運用のスタンダードだ」とアドバイスしました。久しぶりに兄貴らしいところを見せることができ、大いに威厳を回復できたのです。

それから、こんなこともありました。先日、取引先の女性社員と雑談していたら、やっぱり急に「菟道さんって、投資にとかに詳しいんでしょ。確定拠出年金の運用ってどうやるの?」と聞かれたのです。彼女の勤務先は東証1部上場の大企業ですが、やはり今年から確定給付型の企業年金が企業型確定拠出年金に移行するとか。自分で運用商品を決めろと言われても、どの商品を選んだらいいのかさっぱり分からないと言います。そこでやっぱり年金運用の基本はインデックス投資であるとして、インデックス投資について軽くレクチャーしました。商品の選択もコストの安いインデックスファンドを軸に選ぶべきだと指摘したところ「今度、資料を見せるから、買ってもいいインデックスファンドに印をつけて」と頼まれたわけです。

身近なところでこういったことがあると、やっぱり企業型確定拠出年金の普及は、インデックス投資が普及するきっかけになるのだと実感した次第です。ただ、企業型確定拠出年金の加入者でも、よく分からずに適当に商品を選んでいる人も少なくありません。そういう人が身近にいれば、iDeCoに加入したりしてインデックス投資を実践している人は、面倒くさがらずに自分がやっていることを教えてあげることが大切なのかもしれません。今やインデックス投資の知識が、ある日突然に必要となる時代なのですから、経験者は積極的に自分の経験を話すことで、多くの人が安心して自分の年金運用に取り組めるような環境を作ることに協力すべきだと思うのです。そうすることによって、まだまだマイナーな存在であるインデックス投資の認知度も高まっていくはずです。

【ご参考】
iDeCoプランの選択肢としてお薦めなのは運営管理手数料が無条件無料で低コストインデックスファンドをそろえるSBI証券、楽天証券、マネックス証券、イオン銀行、松井証券です。iDeCoへの加入を検討している人は、これら金融機関のプランも研究することをお勧めします。いずれもネットから無料で資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン楽天証券確定拠出年金プランイオン銀行確定拠出年金プランマネックス証券確定拠出年金プラン松井証券確定拠出年金プラン

【関連記事】
SBI証券と楽天証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)を徹底比較―加入者の属性や考え方によってそれぞれに優位性がある

また、研究のために解説書を読むことも大事です。最新の情報を盛り込んだ解説書としては大江英樹さんの『はじめての確定拠出年金投資』山崎元さんの『確定拠出年金の教科書』竹川美奈子さんの『一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』田村正之さんの『はじめての確定拠出年金』を挙げておきます。



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