2016年12月7日

“キレイなオジサン”銘柄を探せ―ひふみ投信の2016年11月の運用成績



ひふみ投信の定例ウオッチです。2016年11月次運用報告によると、ひふみ投信の11月の騰落率は+0.4%、参考指数であるTOPIX(配当込み)の騰落率は+5.5%でした。トランプ・ラリーでインデックスは大幅上昇したわけですが、まったく付いていくことができませんでした。米国の大統領選挙を境に、一夜にして市場のキャラクターが全く正反対になってしまい、ひふみ投信の銘柄選択の特徴が裏目に出た形です。この辺りが銘柄選択で勝負するアクティブファンドの運用の難しさです。ただ、市場のキャラクター変化に合わせてポートフォリオを大胆に組み替えているとのこと。注目は“キレイなオジサン”銘柄だとか。この辺りは言いえて妙です。今後に期待したいと思います。11月24日段階での純資産残高は347.6億円(前月は345.6億円)、受益権総口数は10,062,292,456口(前月は10,047,502.809口)となり、こちらは順調に成長が続いています。

11月は市場の予想に反してドナルド・トランプ氏が米大統領選挙に勝利したことで、市場環境が一変しました。ひふみ投信でもヒラリー・クリントン氏とトランプ氏のどちらが当選しても恩恵を被るであろう公共投資関連の重厚長大銘柄をオーバーウエートするなど事前の対策は行っていたのですが、実際の市場の反応はひふみ投信の予想をはるかに超える大規模なものとなったことが11の運用成績が参考指数に対してアンダーパフォームとなった要因です。とくに銀行株など比較的ひふみ投信が投資を好まないセクターが株価上昇を牽引したことも少なからず影響しているようです。このため最高運用責任者である藤野英人さんも次のように11月の運用結果を分析しています。
結果として、トランプ氏が当選したことで、投資の方向性は合っていましたが、その規模が足りず、日経平均株価の上昇についていくことができませんでした。
相場というのは恐ろしいもので、一夜にして地合いが一変することがあります。リターン・リバーサルです。そうなると、これまで強みだったものが弱みになる。これまで大型株よりも中小型株、製造業よりも非製造業を選好することで成果を上げてきたひふみ投信のポートフォリオが有効性を急速に失っています。このため今後の運用に向けて、ポートフォリオを大幅に入れ替えている途中です。実際に11月末段階の組入れ銘柄を見ると、荏原製作所、TDK、三菱重工、日本電産、三井住友フィナンシャルグループ、ソニー、三菱商事といった名前が上位に入ってきました。こうした動きは今後も続きそうです。この辺りの戦略は、藤野さん自らが運用報告会で語っていて、これが非常に面白い。



“キレイなオヤジ”銘柄を探すという戦略は言いえて妙です。この発想は個人的にも大賛成。というのも私自身も仕事の関係で非常に古い業界に属しているのですが、ここ数年で一部の企業で明らかな体質改善が起こっていること実感しているからです。いままでその成果が株価にはあまり影響してきませんでしたが、2017年は、そういった努力が顕在化する相場環境になるという可能性を否定できないと個人的にも感じています。

さらに言うと、これからの銘柄選択は本当に2017年の成績を根本的に左右すると思う。なぜなら、今の相場は一種の“祭り”であって、ある意味でどんな銘柄でも上昇しているといえるからです。こういう相場になればインデックスは圧倒的に強い。ただ、時間が経過してトランプ政権の具体的な政策が明らかになるにつれて、かならず期待剥落で大きく株価を下げる銘柄が出てきます。それに連れてインデックスも調整される可能性があるのですが、その時に本当に期待できる銘柄だけが大きな下げに見舞われずに、株価を維持し、あるいはさらに上値を狙う展開になるような気がします。そういった銘柄、それこそまさに“キレイなオヤジ”銘柄―をどれだけ見極めてポートフォリオに組み入れることができるかが今後のポイントになるでしょう。その意味でも、ひふみ投信の今後の動きは要注目だと思うのです。

さて、月次運用報告書に先立って発表された中間レポート恒例の組入れ銘柄紹介ですが、今回はTOWA(6315)でした。ひふみ投信が銘柄選択のど真ん中に位置付けている半導体関連装置メーカーです。半導体は世界的に大規模な設備投資が進められており、IoTなど新たなイノベーションも生まれるでしょうから、まさにど真ん中の銘柄なと言えそうです。

【ご参考】
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