2016年11月27日

ポートフォリオのリバランスが必要な本当の理由



以前にポートフォリオのリバランスを行うことでリターンが向上する可能性があるという「リバランス・ボーナス」について書いたところ、予想以上に多くのPVをいただきました。

やっぱり”リバランス”は大切だよ

ただ、ちょっと誤解を招く書き方だったことを反省しています。確かに異なる値動きの各資産のウエートを目標とする配分に調整するリバランスには「リバランス・ボーナス」を狙えるという効果があるのですが、それはリバランスの本来の目的ではないからです。リバランスが必要な本当の理由は、あくまでポートフォリオのリスク量を目標とする枠内に収めるためだということを強調しておきたいと思います。

なぜリバランスが必要なのかということを簡単なシミュレーションで考えてみましょう。ここに国内株式(TOPIX)インデックスファンド50%・国内債券インデックスファンド50%で構成するポートフォリオがあります。株価が上昇し、債券価格が下落してポートフォリオの配分が国内株式60%・国内債券40%に変化したとします。このときに、ポートフォリオのリターンとリスクはどのように変化したかを過去のデータからシミュレートすると、次のようになりました(計算は「Funds₋i」サイトの「投信アシスト」を使いました。)



株式のウエートが増えたことでリターンはわずかに0.2ポイント上昇するだけですが、なんとリスクは1.8ポイントも増加してしまいました。つまり、知らないうちに当初想定したリスク量から上振れしてしまっているのです。この状態が長く続くと、知らないうちにリスク過剰になる危険性があります。この危険性を避けるために、定期的なリバランスが必要なのです。これこそ、リバランスが必要な本当の理由です。

もちろん、逆に株式が値下がりし、債券価格が上昇する場合もあります。その場合、ポートフォリオは株式のウエートが低下し、債券のそれが増加しますから、リターンが低下してリスクも低下します。ただ、それはやはり当初想定したリターンとリスク量から下方乖離し、今度は投資効率が低下していることを意味します。そこで、やはりリバランスして、目標とするリターンとリスクに戻してやる必要があるのです。

ようするにリバランスの目的というのは、ポートフォリオのリスク量を想定した範囲内に収めることが目的なのです。その過程で投資効率の低下も防げますから、結果的にリターンが向上する「リバランス・ボーナス」が発生する可能性が生じるということ。でも「リバランス・ボーナス」というのはあくまで「ボーナス」、つまりオマケだというくらいに考えておいた方が安全でしょう。それよりも、想定以上のリスクを負わないことを第一に考えるべきだからです。

最近、株価が急上昇しているわけですが、こういう時にポートフォリオの配分が大きく崩れるケースが多い。だから、上げ相場に乗り遅れまいと慌てて追加投資ををするのではなく、まずはポートフォリオのウエートをよく確認するべきです。もし、配分が崩れていているなら、いまするべきは追加投資ではなく、あくまで自重することかもしれません。いい機会ですから、久しぶりに証券口座にログインして、ポートフォリオの配分を確認してみてはいかがでしょうか。

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