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2016年11月29日
労働組合でFPを招いて金融リテラシー向上セミナーを開きます
私は勤務先企業の労働組合で執行委員をやっているのですが、それ以外にも同業者の各単組と結成する協議会団体の代表幹事も3年前から務めています。協議会団体では各単組で行う労使交渉の支援や情報交換、労働条件の統一交渉など本来の労働運動・闘争ほか、毎年12月の総会の時に外部から講師を招いて勉強会を開いています。いつもは労働問題や経営問題をテーマにすることが多いのですが、今回は私の発案で独立系ファイナンシャル・プランナーを招いて金融リテラシー向上のためのセミナーを開くことにしました。労働運動が大切だからこそ、同時に労働者は家計段階で足元をガッチリと固めることが闘争を戦い抜くために欠かせないと感じているからです。
私の勤務先は従業員50人以下の中小零細企業な上に斜陽業界に属するため、毎年の春闘や一時金闘争は大変な苦労をしています。ボーナスなんか、いまだに1カ月分も出ていません(ちなみに、いちばんひどかったのはリーマン・ショックの直後で、基本給10%カット、ボーナスは一律5万円でした)。最近はようやくマシになってきましたが、あいかわらず低レベルな労働条件であることには変わりありません。業界自体が疲弊しているものだから、同業者も大変な経営危機に陥っており、ある同業者などは今年は冬のボーナスがやはり5万円ぐらいしか出ないそうです。
こういう厳しい環境下、協議会団体では相互の闘争を支援しながら、少しでも待遇が改善するように共闘しているわけですが、いかんせん企業側の支払い原資に限りがあるため、なかなか満足のいく闘争成果を上げることができず、各単組とも執行部は非常に苦労しています。一朝一夕に問題が解決しないわけですから、少しづつでもいいから待遇改善を求める持久戦として労働運動を戦わなければなりません。恐らく、世の中の中小企業の労働組合は、どこも同じ悩みを抱えていることでしょう。
この場合、労働運動を戦い抜くために大事になるのが、労働者各人が家計レベルでガッチリと足元を固めることでしょう。つまり、労働者の家計が筋肉質にならないといけないのです。ボーナスが減ったなら、それに合わせて家計の棚卸をして、余計な支出を削減するといったことで対抗する。それが生活を守るということです。そして、そのためには金融リテラシーの向上が欠かせないと考えていました。
そういったことを考えていた時、たまたま「草食投資隊」のセミナーで独立系FPの方と知り合いになる機会がありました。聞けばいくつもの労働組合の顧問FPなどもしているとか。その後も何度かお会いする機会があり、いろいろとお話したことで信用できる方だと確信しました。そこで思い切って勉強会の講師を依頼したところ、格安の講師料で快諾してくれました。そんなわけで今回のセミナーが決まったわけです。
手前味噌な言い方だけれども、こういった活動は労働組合の大切な仕事だと思う。労使交渉など闘争が“攻撃”だとするなら、組合員の家計を筋肉質にするための情報提供と支援などは“防御”です。攻守そろってこそ十分な労働運動が可能なのです。とくに最近はあらゆる分野で自助努力のウエートが高まっていますから、労働者も金融リテラシーが低い状態では、それこそ資本家にいいようにやられてしまう。
なによりも組合員には、お金に関する正しい知識を持つことで漠然とした不安を少しでも解消して欲しいのです。金銭的に恵まれない中小零細企業の労働者にとって、それは特に大事なことだと思うのです。