2016年10月29日

アクティブファンドへの投資こそ「長期保有」が大事



モーニングスターに面白い面白い記事が載っていました。米国バンガード社が「Keys to improving the odds of active management success」というレポートの中で、アクティブファンドの運用で大切なことは、「低コスト」「優れた人材」「我慢強さ」だと指摘しているそうです。

“パッシブの巨人”に学ぶアクティブ運用術(モーニングスター)

これは実感としても非常に納得です。とくに最後の「我慢強さ」というのはファンド側の問題ではなく、受益者側の問題です。アクティブファンドへの投資こそ長期保有が非常に重要になるということです。

アクティブ運用が、なかなかパッシブ運用に恒常的に勝てないというのは世界共通の現象ですから、個人投資家は低コストなインデックスファンドやETFを保有してパッシブ運用に徹するのが一番気楽でいいというのはよくわかる話です。ただ、だからといってアクティブ運用を全否定するのも問題です。実際にインデックスを上回るリターンをたたき出すアクティブファンドは一定数は存在するわけですから。問題は、どんなアクティブファンドが勝率に優れるのかということです。この点で、アクティブ運用でも実績のあるバンガードの指摘はじつに妥当なものです。それが「低コスト」「優れた人材」、そして「我慢強さ」です。

「低コスト」というのは、アクティブファンドにこそ重要なポイントです。実際にダメなアクティブファンドの多くは、ほとんどがコストの高さで自滅している。確かに投資におけるアルファは存在すると思うのですが、それは私たちが想像している以上に小さいのではないでしょうか。だから、コストが高いアクティブファンドなどは、それだけで選択肢として論外です。

「優れた人材」というのも分かりやすい。アクティブファンドの運用というのは基本的にファンドマネージャーの運用哲学や個性によるものですから、ここで優れた人材を得ることができなければ、どうやったってリターンは上がりません。その意味では、どういった人物がファンドマネージャーを務めているのかという情報が開示されていないようなアクティブファンドは、やはり選択肢として論外なのです。

そして一番興味深いのが「我慢強さ」です。これだけはファンドの問題ではなく、受益者の問題だからです。アクティブファンドといえども、毎年ベンチマークを上回るリターンを上げることなど不可能です。相場に“百戦百勝”はありえないのですから。だから、長期的にベンチマークを上回る成績を上げたアクティブファンドといえども、ある程度はベンチマークをアンダーパフォームする期間を経なければならない。これは当たり前の話で、市場平均を上回るためには安値で銘柄を“仕込む”期間が必要ということ。

この“仕込み”の期間は、ある程度パフォーマンスが低迷するのが避けられないのですが、ポイントは“仕込み”の期間が意外と長いということです。記事では次のようなデータが紹介されています。
バンガード社の調査方法を参考に、日本のアクティブファンドではどのくらいの「我慢」が必要なのか調べた。まず、「国内大型ブレンド」に属するアクティブファンドを対象に、2015年12月末までの過去10年間のトータルリターンがパッシブファンド(TOPIX連動型)の平均を上回ったファンドを集計したところ、10年間の運用実績がある73ファンドのうち、20ファンドが超過リターンを達成していた。次に、この20ファンド(以下では「アクティブ上位ファンド」と呼ぶ)の過去10年間の暦年リターンを確認し、各ファンドが何年間パッシブファンドの平均を上回ったかを見た。10年間通して見ると優秀なアクティブ上位ファンドだが、20ファンドのうち9割の18ファンドが3年以上パッシブファンドの平均に劣後しており、3割超は5年以上劣後していた。
こうしたデータを見ると、アクティブファンドへの投資こそ「長期保有」が大切だということがよくわかります。しかし、現実の受益者は、リターンが低迷している間にファンドを手放してしまう場合が多い。「我慢」ができないのです。そして、解約が増えるとアクティブファンドは将来のリターンのための大切な“仕込み”ができませんから、じつはポテンシャルを秘めていたはずのファンドが、本当に“ダメなファンド”になってしまう。このあたりにもアクティブファンドの運用の難しさがあるのです。

そう考えると、優れたアクティブファンドの条件の2番目に挙げた「優れた人材」という指摘が、別の意味を帯びてくるのかもしれません。つまり、ファンドマネージャーの仕事には、運用だけでなくパフォーマンスが低迷している時期にどれだけ受益者を励まし、引き留めることができるのかという力が問われる。さわかみファンドの澤上篤人さんが、いつも「売るな、売るな」と受益者に言っているのは、あれはあれで正しい姿勢なのです。

こうなってくると、やっぱりアクティブファンドを選ぶときの重要な要素は、ファンドマネージャーの魅力ということになるのでしょう。そして、いくつかの例外を除いて日本のアクティブファンドに最も欠けているのは、この要素なのかもしれません。

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