私も保有しているアクティブファンド、ひふみ投信がこのほどグッドデザイン賞を受賞しました。
ひふみ投信が2016年度グッドデザイン賞を受賞しました(レオス・キャピタルワークス)
直販投信が受賞するのは初めてだそうです。たしかに投資信託がグッドデザイン賞を受賞するというのは珍しい。ただ、受益者の一人としは、特段に奇異な感じを受けませんでした。確かにグッドデザイン賞に選ばれてもおかしくない楽しさが、ひふみ投信にはあるからです。
グッドデザイン賞は、特定の商品だけでなくアイデアやビジネスモデルも対象となります。ひふみ投信は応募に際して「直販による顧客との直接対話」「投資が社会に与える素敵な影響について共有する場を積極的に設けている」「 長期保有するほど受益者のコストが低減する仕組みを導入したこと」を主催者に伝えたとか。こうしたビジネスモデルが評価され、今回の受賞となりました。
審査員もひふみ投信のビジネスモデルを高く評価し、次のようにコメントしています。
運用実績のみを追求するのではなく、長期投資を促す仕組みをつくる、一つひとつの企業を訪ねるなどの取り組みを通じて、結果として良好な運用実績が実現されているのが素晴らしい。投資家も運用実績以上に、喜びのある投資が実現されるのではないかと推察した。これからも双方に実りある投資が可能となるよう事業を進めていただきたい。このコメントは、受益者の実感から見ても、なかなか的を得ています。実際にひふみ投信を保有してみると、このファンドは想像していた以上に楽しい。まず、月2回発行されるレポートは、ファンドマネージャーである藤野英人氏を中心としたレオス・キャピタルワークスのスタッフに肉声がよく伝わる内容になっています。それでいて時々の相場環境に対する鋭い分析もあるわけですから、読んでいるだけで勉強にもなるし、何より楽しいのです。
また、文書だけでなく毎月運用報告会を開催し、受益者と相対してコミュニケーションをとっていることも百凡の投資信託とはまるで違います。しかも、運用報告会の様子はYouTubeで公開されていますから、私のような地方在住の受益者にとって大いに助かります。さらに全国キャラバンとして地方でも積極的にセミナーを開催するといった姿勢も、やはり地方在住の受益者の心をくすぐるのです。
ひふみ投信を保有する楽しさというのは、なかなか言葉では言い表せないのですが、最近はその意味が少し分かってきました。それは、ひふみ投信の口座を開設すると最初に送られてくる「お取引ガイド」に記載された藤野さんの次の言葉に端的に表されています。
「ひふみ投信」の口座を開くことは、ちょっと特別な倶楽部の会員の仲間入りすることに似ています。改めて読むと、なるほどと思わせる言葉です。日本は欧米のような本当の意味での会員制倶楽部やサロンの文化が希薄ですから、いまひとつ意味が分かりにくいかもしれませんが、ひふみ投信が提供しようとしている「投資が社会に与える素敵な影響について共有する場」というのは、確かに何らかの価値観を共有する有志が結成する倶楽部の文化に近いものがあります。
ファンドは儲けることが最も重要だという考え方を私は否定しませんが、やはりそれだけでは寂しい。投資信託には、それ以外の付加価値があってもいいはずです。その意味では、ひふみ投信が提供しようとしているのは、ファンドを通じたある種の中間団体的な価値感なのでしょう。現在の日本のように中間団体の存在が希薄化し、個人が孤立しやすい社会構造にあっては、それはとても貴重なものに思えるのです。
そして、こういった付加価値の提供こそ、アクティブファンドの存在意義になっていくのかもしれません。とくに独立系直販投信には、そういった投資を通じた文化的価値の形成という大きな可能性が秘められているのです。今回、ひふみ投信がグッドデザイン賞を受賞したことで、そういった投資信託の新たな価値について注目が集まればと思わずにはいられません。
【ご参考】
ひふみ投信は、銀行や証券会社といった販売会社を通さない直販ファンドです。ネットから無料で口座を開設することができます。⇒ひふみ投信
ひふみ投信と同じマザーファンドに投資する「ひふみプラス」はSBI証券 、カブドットコム証券、楽天証券、マネックス証券など主要ネット証券や地方銀行などで買うことができます。
また10月14日から、やはりひふみ投信と同じマザーファンドに投資する確定拠出年金専用ファンド「ひふみ年金」がSBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)プランで取り扱いを開始します。SBI証券のiDeCoは手数料の安さや低コストインデックスファンドをそろえた商品ラインアップが素晴らしく、iDeCoの選択肢として最有力のひとつです。こちらもネットから無料で簡単に資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金積立プラン