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2016年9月23日
ファンドマネージャーの名前を言えますか?
少し前の記事ですが、楽天証券経済研究所の窪田真之所長が面白いことを書いていました。
腕の良いファンドマネジャーの見分け方(NIKKEI STYLE)
指数連動を目的とするインデックスファンドと異なり、アクティブファンドは良くも悪くもファンドマネージャーの手腕や個性が運用成績に大きな影響を及ぼします。だから、誰だって腕のいいファンドマネージャーが運用しているファンドに投資したいと考えるのは当然です。そこで腕のいいファンドマネージャーを見つけるためには、ある程度は長期的な視点でファンドの運用成績を吟味する必要性を窪田氏は指摘しています。これはこれでもっともな意見なのですが、ひとつ気になったことが。それは、そもそも日本ではファンドマネージャーが誰なのか分からないアクティブファンドがけっこうあるということ。だから、腕のいいファンドマネージャーを見つけるよりも先に誰がファンドマネージャーなのかを明らかにすることが先決だと思うのです。
これは以前から識者の間でも散々指摘されていることですが、日本の投資信託の問題点のひとつに、ファンドマネージャーの情報が受益者にあまり開示されていないということがあります。いまだにファンドマネージャーの名前すら分からないアクティブファンドがかなりある。これって、よくよく考えると受益者に対して非常に失礼なことです。少なくとも顧客の大切な資産を預かっているのだから、名前や経歴、運用業務に関する実績ぐらいは明らかにするべきです。
なぜファンドマネージャーの名前を明らかにすることが必要かというと、それこそ窪田氏が提唱するような方法で腕のいいファンドマネージャーが運用しているファンドを見つけたとしても、知らない間にファンドマネージャーが交代していたら何の意味もないからです。アクティブファンドというのは、やっぱり最後はファンドマネージャーの個性によって運用の戦略・戦術が決まるものです。
ちなみに米国では目論見書にファンドマネージャーの情報を記載するのが当たり前です。投資家はそれを参照してファンドを選択するし、ファンドマネージャーの方でも個人名を出して運用するわけですから、自分のキャリアに傷が付かないように必死で運用するだろうことは想像に難くない。そうやって受益者とファンドマネージャーが良い意味での緊張感をもった関係となる。運用が上手くいけば、両者の間に強い信頼関係も生まれ、それがまたファンドの強みになっていきます。
だから、冒頭で紹介した窪田氏が提唱するようなファンドの選び方は、その前提としてファンドマネージャーに関する情報が投資家に開示されていてこそ有効性を持つといえる。その意味で私は、ファンドマネージャーの名前が分からないようなアクティブファンドには投資しないようにしています。
私は現在、ひふみ投信とiTrust世界株式という二つのアクティブファンドを保有しています。ひふみ投信のファンドマネージャーは藤野英人氏。きちっと運用責任者の顔が見えるのが独立系直販ファンドの魅力です。そしてiTrust世界株式のファンドマネージャーは、リチャード・ヒーリス氏とステファノ・ノラ氏。ピクテ投信投資顧問もファンドマネージャーの情報開示には熱心で、日本で一般販売しているすべての投資信託のファンドマネジャーの名前と経歴・運用経験年数などがホームページで確認できます。
ピクテのように日本の大手運用会社もぜひファンドの運用責任者の個人名を明らかにして欲しいものです。やはりお金を託す側としては、いつ人事異動でいなくなるか分からないサラリーマン的ファンドマネージャーではなく、きちっと個人名で勝負するファンドマネージャーの方が信頼できるというのは自然なことでしょう。
ということで、アクティブファンドを保有しているあなたは、ファンドマネージャーの名前を言えますか?