2016年8月11日

なかなかインデックスは手強いね―iTrust世界株式の2016年7月の運用成績



ピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド、iTrust世界株式の7月次運用報告書が出ましたので、定例watchです。2016年7月の騰落率は+5.87%でした。参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込)の騰落率は+6.09%ですから、今月も参考指数をアンダーパフォームしています。iTrust世界株式は非常にユニークな商品であり、私もサテライトポートフォリオとして毎月積み立てしているのですが、なかなか参考指数を上回る成績を月次で上げることができていません。なかなかインデックスは手強いのです。

7月はBrexitショックによる大幅下落があった6月からの戻し相場だったわけですが、結果的にiTrust世界株式はインデックスに追随するのが精一杯という運用成績でした。このため信託報酬を差し引いた分だけ、きちっとパフォーマンスがインデックスに対して劣後したことになります。

はからずもアクティブファンドがインデックスに勝つのがいかに難しいかを証明しているようなiTrust世界株式の運用成績ですが、受益者の一人としてあまり短期でのリターンに固執するのも良くないと思っています。というのも、前にも書きましたがiTrust世界株式のような長期投資を前提とするアクティブファンドは、それこそ長期的な視点で運用成績の優劣を判断する必要があるからです。

なぜかというと、市場のキャラクターというのは、ある程度のタームで変化するからです。アクティブファンドは、その変化に合わせてポートフォリオを大きく変えなければならない時期というものがある。その場合、ときには市場平均を下回るリスクを冒してでも将来有望と考える銘柄を“仕込む”期間が必要なのです。

あくまで個人的な相場観ですが、どうも2016年は世界的に株式市場のキャラクターが大きく変化している過渡期のような気がします。このため、これまで優秀な成績を上げていたアクティブファンドの成績が、やや低迷する傾向があります(例えば、ひふみ投信もそのひとつでしょう)。iTrust世界株式に限らずアクティブファンドに投資している受益者にとっては、しばらくは我慢の時期が続きそうな予感がします。逆にいうと、この時期にどれだけ将来性のあるポートフォリオを構築できるかが今後の運用成績を左右することになるでしょう。

とはいえ、やはりアクティブファンドがインデックスを恒常的に上回るリターンを上げることは並大抵のことではないというのも厳然たる事実。だから、少なくともリターンの面でアクティブファンドに過剰な期待を寄せるのは禁物です。もしアクティブファンドに投資したいなら、あくまで資産運用のコアはインデックスファンドでガッチリと固めて、サテライトとしてアクティブファンドへの投資を楽しむことをお薦めします。

実際に私もアクティブファンドはiTrust世界株式とひふみ投信を買っていますが、投資比率は合わせて毎月の積み立て額の10%程度。この程度なら良質のアクティブファンドにはインデックスファンドにない付加価値があるので、多少のコストは十分にペイするのではないでしょうか。

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