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2016年6月16日
厳選投資の成果はあるか―iTrust世界株式の2016年5月の運用成績
私は現在、サテライトポートフォリオのひとつとしてピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド、iTrust世界株式を少額ですが積立投資しています。そこで今月から運用成績をウオッチすることにしました。以前に要望したことに応えていただき、5月の月次レポートからファンドの騰落率に加えて参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込)の騰落率も記載されていますので、これと比較しながら「豊富な資金力」「優れた開発力」「価格競争力」「ブランド力」「マーケティング力」という5つの成長力を持つグローバル優良企業に投資するというiTrust世界株式の厳選投資戦略がどの程度成果を上げるのかを長期的に見ていきたいと思います。
iTrust世界株式の5月の騰落率は+0.65%でした。参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込)の騰落率は+0.91%でしたから、わずかにインデックスをアンダーパフォームしてしまいました。5月31日段階での純資産総額は0.8億円となり、前月からほぼ横ばいです。設定から4カ月しかたっていませんので、まだまだ大きな資金流入にはなっていません。やはりネット専用ファンドなのでジワジワと資金流入を待つ段階といえそうです。
5月末段階での組入銘柄は69銘柄となっています。レポートのコメントでは「業種別では、情報技術や生活必需品が上昇しました。一方、エネルギーや素材は下落率が大きくなりました」とありますが、iTrust世界株式の保有銘柄はやや出遅れているといえそうです。組入上位銘柄を見るとアルファベット(グーグル)やアップルの名前が見えますが、おそらくこのあたりの銘柄の株価が低調だったことが影響したように感じます。
ただ、中長期的に見るとグローバル優良企業は他の企業群を上回る成長力を持つというのがこのファンドの投資戦略ですので、引き続き「徹底的な調査・分析とバリュエーション(投資価値評価)分析などを通じて銘柄を厳選して運用を行う方針」とのことです。ぜひ厳選投資の成果を発揮してもらいたいところです。
また、受益者専用の情報発信サイト「iInfo」はレイアウトが改善され、非常に見やすくなりました。機関投資家向け資料で短期(6カ月程度)の投資環境見通しをレポートする「Barometer」も6月号が配信されています。13ページにわたる詳細なレポートとなっていて、今回も非常に読み応えがありました。
結論だけ紹介すると、世界経済の先行きにやや不透明感が増したことから株式への評価はオーバーウエートからニュートラルに引き下げられました。株式の中でも新興国株はニュートラルに引き下げる一方、バリュエーションから投資妙味があると見る欧州株と日本株はオーバーウエートを継続します。セクター別では電気通信サービスセクターをフルオーバーウエート、公益セクターはフルアンダーウエートとなります。どこまで当たるかは分かりませんが、ひとつの意見として念頭に置いておくことにします。
iTrust世界株式として設定されて以来、運用成績では参考指数に対して出遅れているわけですが、はたしてマザーファンドの過去の実績のように、今後どれだけ超過収益を確保できるのか見守っていこうと思います。