2016年5月6日

資産運用は将棋のようなもの



私の趣味のひとつに将棋があります。30代から本格的に勉強を始めたのですが、関西将棋会館で東和男八段と本間博六段の指導を受け、アマ初段を許されています。ただ、年をとってから始めた悲しさで、頭でっかちの将棋ですから実戦はそんなに強くないです。そんなヘボ将棋指しの立場からつねづね感じていたのですが、資産運用というのは将棋と非常に似ている。升田幸三実力制第四代名人は「将棋は人生だ」と言いましたが、やはり棋理は人間万事に通じるのかもしれません。それで、ちょっと戯言を書きたくなりました。

将棋というのはプロによる長年の研究によって様々なセオリー、定跡、手筋が確立されています。素人将棋と、少しでも本格的に将棋を勉強した人の違いは、このセオリーを理解しているかの差が大きい。これは資産運用にもよく似ています。投資に慣れた人は、自然と定跡、手筋に従って資産を動かしているのです。

将棋は自玉を守りながら、相手玉を詰ませることが目的のゲームですから、これを資産運用に当てはめると自玉は生活自体、相手玉は運用目標だといえるでしょう。玉の次に大事な駒は金将・銀将ですが、これは現預金と債券。攻めの中心となる飛車・角行は海外株式と国内株式です。守り駒でありながら攻撃に参加すればリスクは高いけれども破壊力抜群の桂馬・香車は不動産でしょう。

将棋の序盤は、しっかりとした駒組みを作ることが大切。金銀3枚で玉をきっちりと囲う。そして攻勢の構えを築くために角道を開け、飛車先を突く。これができるだけで、じつはまったくの初心者を卒業できる。そして、これは資産運用の準備と同じ。まずは生活防衛資金など現預金や債券で生活をガッチリと固めながら、株式でポジションを作って運用のポートフォリオを固めていく。まさにアセットアロケーションを決定していくことは、将棋の序盤戦の駒組みと同じです。

いざ戦いが始まると居玉のまま飛車角ばかり動かすのがヘボ将棋の特徴。それで手損ばかりする。資産運用も同じで、守りを固めずに頻繁なトレードをしていると、いっこうに成績が上がらないままに手数料だけ損をしていく。これではすぐに潰されてしまって当然です。将棋の強い人は、序盤・中盤でそんなに飛車角を動かしません。じっくりと守りを固めながら、位をとったりして少しずつ、少しずつ形勢を良くしていくことに専念する。そして、あるタイミングで一気に飛車角を成り込ませる。このあたりは、上昇相場が来るまでじっくりと株式を保有し続ける呼吸に似ているでしょう。

終盤、相手玉を詰ませる段になれば駒を惜しんではいけません。どんどん捨てて相手玉を寄せ切ることが大切。ここで駒を惜しむと、だいたい逆転負けする。資産運用も同じで、いつまでもお金を使うことを惜しんでいてはいけないということです。大切な場面では、どんどんとお金を使っていくべきなのです。なぜなら、運用目標は生活の質を上げることであって、資産を単純に増やすことではないから。

ところで、将棋でもっとも重要な役割を果たす駒はなんでしょうか。じつは歩です。歩を適切な位置に進めないと駒組みがまったくできません。手駒も歩切れになると歩の手筋を使って状況を打開できませんし、攻められたときに受けようがなく、相手にいいようにやられる場合が多いのです。文字通り「歩なし将棋は負け将棋」です。そして、資産運用で歩の働きをするのが、サラリーマンの場合なら毎月の給料です。これがあるから生活を守ることもできるし、投資で攻めることもできる。将棋では「と金」ができると、これだけで勝てる場合すらあるのですが、資産運用でも収入を増やすことが最大のエンジンであるということに通じるでしょう。なにより形勢が悪くなっても、底歩を打つように逆境をしのぐことができる。

われながらバカバカしい戯言を書いたような気がしますが、少しでも「なるほど」と思ってもらえれば幸いです。実際の資産運用というのは退屈なものですから、たまにはこうやってバカげたことを妄想してみるのも楽しいものです。
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