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2016年4月2日

eMAXIS最適化バランスの使い方―ロボアドバイザー「PORTSTAR」との組み合わせは面白い



三菱UFJ国際投信が低コストインデックスファンドシリーズ、eMAXISの新ラインアップとして「eMAXIS最適化バランス(マイゴールキーパー)(マイディフェ
ンダー)(マイミッドフィルダー)(マイフォワード)(マイストライカー))」の5ファンドを新たに設定しました。

『eMAXIS 最適化バランス(マイゴールキーパー)(マイディフェンダー)(マイミッドフィルダー)(マイフォワード)(マイストライカー)』募集・設定について(三菱UFJ国際投信)

目標リスク水準(標準偏差)に応じて資産配分を決定するというアイデアはバランスファンドの商品設計として正しく、その点では面白いファンドです。ただ、eMAXISシリーズでさらにバランスファンドのラインアップを拡充する意味がよくわかりませんでした。ところがモーニングスターの掲載されたの三菱UFJ国際投信の担当者に対するインタビューを読んで得心しました。eMAXIS最適化バランスは、これ単独ではなく、新たにサービスを開始したロボアドバイザーPORTSTARと組み合わるのが狙いの使い方となるようです。投資家のリスク水準に応じた最適化バランスファンドを複数用意し、その選択をロボアドバイザーが担当するというのは非常に面白い試みです。ある一定の層の個人投資家にとっては、非常に便利なファンドとサービスになるのではないでしょうか。

eMAXIS最適化バランスは、投資家の許容できるリスク水準(標準偏差)に応じてeMAXISシリーズの各アセットカテゴリーに投資するインデックスファンドの配分を決定し、それぞれ「マイゴールキーパー」(リスク水準6%程度)、「マイディフェンダー」(9%程度)、「マイミッドフィルダー」(12%程度)、「マイフォワード」(16%程度)、「マイストライカー」(20%程度)として5ファンドを用意しています。いずれのファンドも信託報酬年0.5%(税抜)と比較的低コストです。


(三菱UFJ国際投信のリリースから引用)

基準となる最適化バランス指数はイボットソン・アソシエイツ・ジャパンが算出し、これに合わせて年に1度自動的にリバランスされます。だから各資産配分は毎年一定ではなく、指数に合わせて変更される。リスク水準に適合させるには債券と株式、円建てと外貨建てウエートを組み合わせることで可能ですが、その組み合わせは無数にあります。その中から最適な組み合わせをイボットソン・アソシエイツ・ジャパンが算出してくれる仕組みです(これにどの程度妥当性があるのかは意見が分かれるところかもしれません)。

そしてポートフォリオを決定する際に目標リターンではなくリスク水準から考えるというやり方は極めて正しい。その意味でeMAXIS最適化バランスはかなり良心的なバランス型インデックスファンドだと思っていたのですが、このほどモーニングスターに掲載された担当者インタビューを読んで、eMAXIS最適化バランスを設定した狙いについて非常に得心しました。ようするにeMAXIS最適化バランスは、三菱UFJ国際投信がサービスを開始したロボアドバイザーPORTSTARと合わせて使うということです。

ネット専用「eMAXIS」が「最適化バランス」シリーズ投入で新次元の進化=三菱UFJ国際投信(上)(モーニングスター)
ネット専用「eMAXIS」が「最適化バランス」シリーズ投入で新次元の進化=三菱UFJ国際投信(下)(同)

これは非常に面白い試み。そもそも投資初心者にとって自分のリスク許容度を把握するのは簡単ではありません。本来であれば金融機関の対面サービスがその役割を果たすべきなのでしょうが、現状ではかえってハイリスク・高コストの商品ばかり勧めるという悲しい現実があります。これはラップ口座などでも同様です。だったら、ロボアドバイザーを使って投資家のリスク許容度を測定し、それに合わせた最適化バランスファンドを提案するというコンセプトは、ある層の投資家にとってとても便利。だからインタビューに答えている三菱UFJ国際投信の担当者も次のように指摘しています。
現在、証券会社や信託銀行ではラップ口座が人気を集め、投資家の投資目的やリスク許容度を相談員が聞き取って、オーダーメードの運用ポートフォリオを提案しています。金融機関によっては数百のファンドの中から、最適な組み合わせでポートフォリオを提案するそうです。「eMAXIS 最適化バランス」は、選択対象こそ5本のファンドですが、選定の過程などはラップ口座と変わりません。ツールを使うことで、圧倒的な低コストでラップ口座のようなサービスを提供することができます。
フィンテック(金融とITの融合)としてロボアドバイザーに対する注目が高まっており、その是非についてはいろいろと議論があります。しかし、厳しいことを書くようですが、はっきり言って金融機関が現在、個人投資家に対して店頭で提供しているコンサルティング機能は、ロボット以下です。こと資産運用のアドバイスに関しては、銀行員よりもロボットの方がよほど信頼できる(もちろん、ロボットのアルゴリズムや基礎データに金融機関にとって都合のいい作為が加えられていないという前提に立っての話ですが)。

そう考えると、投資初心者で、しかも投資に対してそれほど興味がなく、自分でポートフォリオの配分を決定するような手間暇をかけたく人は、へたに高コストなラップ口座などと契約するのではなく、素直にPORTSTARのアドバイスに従ってeMAXIS最適化バランスのどれかを買うというのは有望な選択肢です。その後に現実の相場変動を体験し、実際のリスク許容度が分かれば、それに合わせてファンドを丸ごと乗り換えてしまえば、ポートフォリオのスイッチングも簡単です。

このように考えると、今回の三菱UFJ国際投信によるeMAXIS最適化バランスの設定とロボアドバイザーPORTSTARの提供は、非常に面白い。世の中には投資はしたいけれども、そのための勉強はしたくないし、する能力もないという人は必ず存在します(例えば高齢者など)。そういう人にリスク許容度に応じた良心的なファンドを低コストで提案するという試みには意義があるからです。

【ご参考】
eMAXIS最適化バランスは現在(2016年4月)、SBI証券、楽天証券、マネックス証券で買うことができます。いずれも以下から無料で口座開設できます。
SBI証券楽天証券マネックス証券

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