2016年4月14日

新興国株式がジワジワと値を戻している



私は低コストなアクティブファンドであるピクテ投信投資顧問のiTrust世界株式を少しだけ購入しています。コストの安さやファンドのコンセプトに加えて、受益者限定サイト「iInfo」で機関投資家向けレポート「Barometer」が個人投資家にも配信されるなど、充実した情報提供が魅力的だったからです。このほどBarometerの2016年4月号が配信されたのですが、読んでみてちょっと驚きました。ここにきて新興国株式がジワジワと値を戻している。2015年はさんざんなパフォーマンスだった新興国株式ですが、今年に入ってからは主要インデックスの中ではトップパフォーマンスをたたき出しています。私は新興国投資は気長にやるべきもの思っていましたが、その新興国も昔に比べるとだいぶ足腰が強くなっているのかもしれません。「新興国はダメだ」と言われるのですが、やはりそれほど相場は単純ではないということでしょう。

Barometerに収録されていた主要インデックスの3月末までの年初来騰落率を見ると、MSCI新興国株価指数は+2.4%。これに対してMSCI世界株価指数は-2.5%です。堅調だといわれるNYダウ平均ですら+1.5%、TOPIXに至っては-12.9%です。いかに新興国の株価が戻しているのかがわかります。

新興国の中でも、とくに上昇が大きかったのがロシアのRTS指数の+15.7%、そしてブラジルのボベスパ指数の+15.5%です。ロシアもブラジルも経済がメタメタで、先行きは非常に暗いといわれたのですが、驚くべこことに2016年に入ってから株価は大幅な上昇となっているのが面白い。もちろん昨年までの大暴落で、依然として低水準な株価であることには変わりないのですが、それでもトレンドはまるで変わっています。

株価がジワジワと値を戻している背景には、新興国で公共投資が積極的に行われていること、そして通貨も対ドルでやや上昇していることがあります。このためピクテも新興国株について比較的強気の姿勢をとっており、次のように指摘しています。
テクニカル面でも新興国株式市場には明るい兆しが見られます。過去5年間では新興国市場から大量の資金が流出しましたが、弱気のスタンスを取っていた投資家がポジションを再構築し始める兆候も一時的に見られます。
外国人投資家による新興国市場への資金流出入は2ヵ月連続のプラスでしたが、これは2015年6月以来のことです。特に3月の資金流入は370億ドルと2010年~2014年の平均を50%以上も上回る水準でした。
どこまで予想があてになるのかは分かりませんが、資金流入が増加しているのは心強い。すくなくとも需給は改善しているわけですから、それが何らかの形で株価に反映されるのは自然なこととだからです。

こういう情報に接すると、やはり新興国投資というのは面白いと感じる。通貨も暴落し、株価も下落したことでお先真っくらな印象を持たれていたわけですが、面白いことに通貨が下落するから新興国の輸出競争力が回復し、再び株価を押し上げ、通貨も上昇に転じた。経済は生き物だから、原因と結果がつねに入れ替わる。だから簡単に「もうダメだ」とか決めつけたらいけないということです。

この先、新興国の株価がどうなっていくのかは予想不可能ですし、もう一段の暴落があるのかもしれません。でも、株というのは下がるから上がるもの。暴落に耐えて投資を続けている人には、もしかしたら嬉しい展開があるのかもしれません。やっぱり投資は市場に居続けることが大切なのでしょう。

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