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2016年3月18日
『ウォール街のランダム・ウォーカー(原著第11版)』を買いました
このほどバートン・マルキール博士の『ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉―株式投資の不滅の真理』の翻訳が刊行されたので、早速購入しました。本書は1973年に初版が刊行されて以降、インデックス投資に関する基本文献中の基本文献とされてきました。私は原著第10版を読んでいるのですが、今回の改版でも新たに増補改訂された部分もあり、やはりこれは読んでおかなければと思ったわけです。まだ、軽く中身を眺めた程度なのでレビューはできませんが、やはり非常に読み応えがありそう。しばらく、じっくりと読んでいきたいと思います。
なにごとも本格的に勉強しようと思えば、必ず読んでおくべき基本文献というものがあります。インデックス投資については、『ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉―株式投資の不滅の真理』と、ジョン・C・ボーグルの『インデックス・ファンドの時代―アメリカにおける資産運用の新潮流』、チャールス・エリスの『敗者のゲーム〈原著第6版〉』が基本文献中の基本文献。さらに株式への長期投資という観点では、ジェレミー・シーゲルの『株式投資 第4版』と『株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす』が重要な文献であり、この5冊を読んで理解していれば、個人投資家としては初級者を脱して中級者の仲間入りだと個人的には考えています。
そんなわけで、本書の最新版が翻訳されたからには読まないわけにはいきません。早速、購入しました。第11版の特徴は、新たに第11章「「スマート・ベータ」は本当に役に立つか」、第12章「財産の健康管理のための一〇カ条」が増補された点です。とくにスマート・ベータは近年、日本でも関心が高く、これを応用した投資信託やETFも相次いで登場していますから、はたしてマルキール御大がどういった見方をしているのか非常に興味があるところ。まだ精読はしていませんが、真っ先に目を通しました。
詳しい感想はいずれレビューしようと思いますが、基本的に著者はスマート・ベータの有効性に対して慎重な姿勢をとっています。スマート・ベータ戦略も一種のアクティブ運用であり、時期によって運用成績にバラツキがあるので明確に時価総額加重のインデックスファンドを長期的に上回るリターンを確保できるか分からないとしています。このため、あくまで時価総額加重のインデックスファンドを運用の中心に据えるべきというのが著者の見解です。このあたりは、なかなか興味深い考察が丁寧に行われおり、読み応えがあります。
第12章は、具体的に実行できる様々な投資対象・手法を取り上げ、資産運用の大原則を提言しているのですが、これがなかなか実践的で面白い。現金から始まり、保険、一時払い変額年金保険、マネー・マーケット・ファンド、銀行の大口定期預金証書、インターネット・バンキング、短期国債、免税のマネー・マーケット・ファンド、退職投資勘定(IRA)、新IRA(ロスIRA)、年金プラン、五二九条口座、マイホーム、投資信託、ジャンク債、外国債、株式などが登場します。日本人にはなじみのない投資対象や商品もありますが、アメリカ人の投資方法の実情がよくわかるのが興味深い。かなり辛辣なことを書いているのも痛快です。ついには金、ダイヤモンド、書画骨董、コレクター・アイテムといった実物投資まで登場しますが、こうした実物を投資対象とすることに対する著者の見解は、極めて常識的なものです。
本書のような古典的価値を持つ文献は、何度読みかえしても損になりません。再読するたびに、以前は気づかなかった発見があったり、前回読んだときには気にも留めなかったか所で深い得心を感じることたびたびです。それは読み手の知識と経験が増し、それに応じて読み方が変わるからです。だから改版が出るたびに購入し、手元に置いておきたくなる。投資に関する書籍というのはまったく玉石混交で、なかには有害な本も多いのですが、歴史的評価に耐える本は非常に少ない。本書は、そんな貴重な一冊。だから、インデックス投資について勉強しようと思う人は、かならず読んでおくべきでしょう。納得できる点、疑問に思う点それぞれ出てくるはずです。そこでいろいろ自分の頭で考えればいい。そういう学びの機会となるからこそ、必読なのです。
そんなわけで、これからしばらく時間をかけて熟読していこうと思います。おそく旧版を読んだときとは異なる印象があるはず。そいう発見もまた楽しみです。