ピクテ投信投資顧問が設定した低コストアクティブファンドシリーズ「iTrust」がいよいよ運用を開始しました。2月8日にはピクテ投信の萩野琢英社長がメディア向けにプレゼンテーションしていて、並々ならぬ本気度を感じさせます。とくに投信新世代の開拓を目指し、投資に対する「学び」も提供すると断言したところが印象的。iTrustで「学び」を担うのが「iInfo」なるサービスです。私もこれに非常に関心があり、少しだけ「iTrust世界株式」を購入しました。さっそく昨日、受益者専用サイトのURLがメールで送られてきたのでアクセスしてみたのですが、予想以上の充実ぶりに感心しました。本当に機関投資家向けの情報を個人投資家にも提供してくれています。ちょっと言い過ぎかもしれませんが、これだけの情報提供があるなら信託報酬0.89%(税抜)というのは、それほど高くないと思ってしまったほどです。
iTrustがターゲットとする投信新世代の特徴とは「真剣」「高いリテラシー」「本物志向」ということですが、「iInfo」でそういった受益者に対して本気の情報提供を行おうとする姿勢が素晴らしい。受益者専用の情報なので詳しい内容を紹介するのは控えますが、次のような情報が受益者専用サイトで提供されます(以下はメールからの引用)。
■ Market Opinion Letter ■
ピクテCEOの萩野とCIOの松元が自ら執筆したスペシャルレポートです。今後、iInfo限定のレポートを配信していきます。
■ Valuation Report ■
お持ちのファンドが今、割安か?割高か?
ひとつの目安を確認できます!
■ Barometer ■
ピクテ・グループの運用戦略を立案する際に使用される6ヵ月先の投資環境見通しを毎月紹介します。各アセットクラスの強気/弱気の判断もご覧いただけます。
■ Secular Outlook ■
ピクテ・グループの運用戦略ならびに商品開発戦略を立案する際に使用される5年先の市場見通しをご紹介します。ピクテの考える各アセット・クラスの期待収益率もご覧いただけます。
■ BASE Movie & Report ■
リスクとは何か、分散とは何か?
レポートやムービーで少しずつ運用の基本が学んでいける特別プログラムです。
■ iInfo Live Seminar ■
第1回CEOスペシャル・セミナー開催決定!
「ピクテと考える資産運用」
日時:2016年3月8日 19:00~20:00
詳しくはメルマガでご案内いたします。
とくに読み応えがあるのが、機関投資家向けレポートである「Barometer」と「Secular Outlook」。いずれも充実した内容ですし、ところどころに一般では手に入らないピクテ独自の分析ツール・データが使われているのも門外不出な感じがして受益者の心をくすぐります。このあたり、さすがプライベートバンクを起源とするだけあって、受益者を喜ばせるのが上手い。付録的に提供されている機関投資家向けマクロ経済データ集「Global Macro Watch」が、100ページという大部なものだったのも驚きました。
さらに「BASE」も画期的です。電子テキストと動画で投資の基本を学ぶプログラムですが、これが予想以上に専門的だった。収益率の計算方法から指数化のよる比較、リスク分析のための標準偏差の考え方などを簡単な数式を使って解説しています。解説の後には例題まで付いている手の込みようには驚きました。それこそ「卵をひとつの篭に入れるな」程度の比喩ではなく、分散投資についての本物の“理論”を学ぶ機会を個人投資家に提供しようとしています。
アクティブファンドは運用成績がすべてだといわれます。それは100%正しい。ただ、投資は難しいものですから、いかに優れたアクティブファンドでも100戦100勝とはいかない。ときには市場平均に負けることが避けられないものです。だから、アクティブファンドこそ運用成績以外の付加価値をつねに受益者に提供しなければいけないと思う。そうでなければ、高い信託報酬の合理性を説明できないからです。
その意味でも、ピクテ投信がiTrustを通じてやろうとしていることは、アクティブファンドとして“超過リターンを追求するのは当たり前。それ以外の付加価値も低コストで個人投資家に提供する”ということです。その本気度が目に見えるから、じつに清々しい。こういった取り組みをこれからも本気で続けるなら、iTrustは本当に面白いアクティブファンドになると思う。
私は資産運用のコアはインデックスファンドが最適だと考えていますが、それこそサテライトとして良質のアクティブファンドを活用しても十分に意味があると考えています。とくに個人投資家としての洗練度を高めてくれる“学び”のあるファンドを選びたい。iTrust世界株式は、その有力候補になってきました。