知らないうちにひふみ投信とひふみプラスのマザーファンドの純資産残高合計が1000億円を超えていました。独立系直販投信として立派なものです。直販だけでなく地方銀行にも販路を開拓する方法というのは非常に有効だったのでしょう。いずれにしても受益者として喜ばしいことです。そんなわけで1拍遅れですが定例の月次運用レポートを読んでみます。ひふみ投信の2016年1月の騰落率は-4.07%、参考指数であるTOPIX(配当込)は-7.44%でした。世界的なリスクオフ傾向にともなう株安でマイナスのパフォーマンスとなりましたが、参考指数よりも落ち込み幅が少ないことは評価できます。引き続き防御的ポートフォリオで我慢の運用を続けるという戦略が成功しているのでしょう。1月29日段階でのひふみ投信単独での純資産残高は287.93億円(前月は287.96億円)、受益権総口数は8,761,376,315口(前月は8,405,531,999口)となりました。株価下落で純資産残高は若干減少しましたが、受益権総口数が増加していることは注目です。下落相場でも順調な資金流入があるということですから、このあたりがひふみ投信の強みといえるでしょう。
2016年1月は、原油下落や中国経済への不安などから日本株も続落し、じつに嫌な相場環境でした。このため、ひふみ投信も厳しい運用状況となったようです。そんな中、引き続き銘柄選択でリスク回避する戦略が奏功したようです。
中国の成長減速や原油価格下落などの外部環境の悪化に影響を受けづらく、独自の力で利益成長が期待される企業を中心にポートフォリオ構築を行っています。月末には日銀によるマイナス金利導入で相場はやや回復したのですが、現在ではその効果も剥落気味。ひふみ投信では依然として厳しい投資環境が続くと見ているようです。
また、相場の大幅な下落局面においては、その後の株価反発による恩恵を享受する目的で、ファーストリテイリング(9983)や日産化学工業(4021)など大きく株価が調整した大型株の組入れも一部行ないました。
輸出ハイテク企業群は来期業績の見通しがかんばしくないので、株価の戻りは限定的になると予想しています。また、マイナス金利は銀行セクターの収益低下という副作用を生むので、銀行セクターにもマイナスです。このため、今後の運用方針も防御的ポートフォリオを構築し、現金比率も高めにしながら、さらに銘柄選択を厳しくしていくことが重要になるとして次のように指摘しています。
ひふみ投信の運用における今後の展開としては、運用資産全体に占める現金の比率をやや高めにしつつ、株式資産の中では景気変動の影響を受けにくい成長企業の比率をさらに高めていく予定です。大型株よりは中小型株が有利な展開になると考えていますが、株式相場全体では上昇が見込みづらい展開を想定していますので、今後はより防御的なポートフォリオを構築しつつ、業績が急上昇する可能性を持った企業への的確な投資が重要になっていくと考えています。個人的にも今後の相場環境は相当に厳しくなると考えていますので、アクティブファンドとして防御的ポートフォリオを組むというのは大賛成。あらゆる銘柄が上昇する時代は完全に終わったと思っているので、見ようによっては銘柄選択の妙が発揮される相場環境になったともいえるので、これから面白い展開を見ることができるかもしれません。引き続きかんばって欲しいものです。
さて、月次運用レポートに先立って発表されていた中間運用レポート恒例の組み入れ銘柄紹介ですが、今回はインベスターズクラウド(1435)でした。まったく知らない会社です。なんでもネットを活用したアパート経営会社だそうです。昨年12月の上場時から組入れているとのことで、期待の高さがうかがえます。この会社が期待できる会社なのかどうかは分かりませんが、すくなくとも個人投資家レベルでは、その存在すら知ることのできない銘柄だったことは確か。そういう銘柄を探してきてくれることが、実際に投資が成功するかはどうかとは別の次元で、アクティブファンドの魅力ともいえます。それもまたアクティブファンドに投資する面白さです。
【ご参考】
ひふみ投信は、銀行や証券会社といった販売会社を通さない直販ファンドです。ネットから無料で口座を開設することができます。⇒ひふみ投信
ひふみ投信と同じマザーファンドに投資する「ひふみプラス」はSBI証券 、カブドットコム証券、楽天証券、マネックス証券など主要ネット証券や地方銀行などで買うことができます。