2016年1月4日

大手運用会社にも見習ってほしい「ひふみ投信」の取り組み



私が保有しているひふみ投信から年末にメールが来たのですが、なんと今年1月から「ひふみろの全国ありがとうキャラバン」と題して全国47都道府県を巡回するセミナーを開催するとのことです。

全国ありがとうキャラバン開催のお知らせ(ひふみ投信)

これは非常に素晴らしい取り組みです。とくに私のような地方在住の受益者からすると、本当にありがたい。こういった姿勢が、ひふみ投信を評価する理由のひとつです。大手運用会社にも、ぜひ見習って欲しい取り組みです。

私はいつも強調しているのですが、アクティブファンドにとってもっとも重要なことは運用成績と同時に、運用会社と受益者のリレーションシップです。運用成績が指数と連動するインデックスファンドと異なり、アクティブファンドは相場環境悪化時にインデックスを大きく下回る運用成績となる可能性をつねに抱えています。しかし、見方を変えると相場下落時は優良銘柄を割安で買い付けるチャンスともいえるので、本来ならばアクティブファンドにとって将来のリターンを高めるための絶好の買い場でもあるはず。ところがそんなときに解約が相次ぐと、投資銘柄を買い増すどころか、値下がりした銘柄を売却して解約者へ資金を返さなくてはなりません。これが将来のリターンをさらに悪化させるケースが多々ある。つまり、良いアクティブファンドというのは、たとえ基準価額が大きく下がっても、粘り強くファンドを保有していくれる受益者の支えがないと成り立たないのです。

基準価額が下落しても受益者をつなぎとめるためには、日ごろから運用会社と受益者が強いリレーションシップを作り上げる必要があるのです。よく「アクティブファンドは一種の『宗教』」とか「アクティブファンドを長期保有している人は『信者』」といわれるのですが、ある意味では、そういった信仰めいたものがないと、良いアクティブファンドは育たないのは事実でしょう。なぜなら、アクティブファンドを選択する重要な基準は、その運用会社や運用責任者の投資哲学に賛同できるかどうかが重要だから。投資技術だけでなく「哲学」に対するコミットメントが求められているのですから、合理性を超えた判断基準、つまり「信じるか、信じないか」ということが問われる。

受益者とのリレーションシップを高めるためには、なにをするべきでしょうか。いろいろ方法はあると思いますが、やはりFace to Faceによる交流や意見交換に勝るものはありません。これは運用会社と受益者に限ったことではなく、あらゆる人間関係に当てはまります。だから、運用会社が受益者と直接対話の機会を作ることは非常に大事(その点では、やっぱり澤上さんは偉かったのです)。だから、今回のひふみ投信の取り組みを非常に評価するのです。

また、単にセミナーを開くだけでなく、それを全国47都道府県でやるというところが圧倒的に偉い。最近では大手運用会社もセミナーやミーティングなどを熱心に開催する傾向が強まっていますが、そのほとんどは東京での開催です。これは運用会社に限った話ではなく、現在の日本の政治・経済全般の悪い癖ですが、とにかく東京でなにかすれば、それでやったつもりになる。でも、日本人は東京以外にも住んでいるんです。受益者も東京にだけ住んでいるわけではありません。

だから、ひふみ投信のように全国47都道府県をすべて巡回するというやり方は、ほんとうに価値あることです。これだけで、ひふみ投信がいかに全国の受益者を等しく重んじているかがわかります。こういった感覚は地方在住の受益者なら、よくわかるでしょう。こういった姿勢を、大手運用会社もぜひ見習って欲しいものです。

【ご参考】
ひふみ投信は、銀行や証券会社といった販売会社を通さない直販ファンドです。ネットから無料で口座を開設することができます。⇒ひふみ投信

ひふみ投信と同じマザーファンドに投資する「ひふみプラス」はSBI証券 、カブドットコム証券、楽天証券、マネックス証券など主要ネット証券や地方銀行などで買うことができます。

関連コンテンツ