2016年1月25日

投資をしたからといって給料が増えるわけではないけれども、ビジネスマンとしての洗練度は高まるかも



最近つくづく思うのですが、少額でもいいから投資をしていると、投資リターン以外にも様々な恩恵があるような気がします。そのひとつが、勉強するようになるということ。投資について勉強したからといって絶対に儲かるわけではありませんが、真面目に投資に向き合っていると、いやでも金融の仕組みや世界経済の動向に詳しくなるケースが多いわけです。べつに詳しくなっても投資リターンが大きくなるわけでも、あるいは給料が増えるわけではありませんが、少なくともビジネスマンとして洗練度は高まるのではないでしょうか。例えば証券会社から口座保有者に対して様々な投資情報が提供されていますが、これらを視たり読んだりするだけでも非常に勉強になります。

私が本格的に投資の勉強を始めたのは、インデックス投資をスタートさせた2012年ごろです。それまでも個別株の保有はしていましたが、個別株投資の勉強となると特定企業や業界、セクターの研究に終始したり、チャート分析など汎用性の無い知識ばかり気になりがちです。ところがインデックスファンドによる国際分散投資を開始すると、個別企業の動向よりも世界経済全体の動向に関心が向くようになります。また、株式だけでなく債券へも投資するわけですから、債券投資の仕組みや金利動向といった一般の個人投資家があまり気にしない問題にも注意を払うようになります。

だから、勉強の方向性がまったく変わってしまいました。まず世界経済の動向が気になるので、日本の新聞・雑誌だけでなくロイターやブルームバークなど外信を日常的に読むようになります(いずれも日本語版サイトがあります)。もうひとつ役に立つのが、証券会社から無料で提供される投資情報です。とくに外国株口座を持っていると、実際に投資はしていなくても、投資情報を読むだけで非常に勉強になる。例えばSBI証券、マネックス証券、楽天証券の3社では現在、口座開設者に対して米国の金融投資専門紙「バロンズ」の日本語要約版である「バロンズ拾い読み」を無料提供していますが、これなどは非常にお得な特典です。なにしろ「バロンズ拾い読み」は本来の購読料が3カ月32,400円もしますから。証券会社の口座開設・維持には費用がかかりませんので、「バロンズ拾い読み」を読むだけで丸儲けです。

なぜ海外メディアの情報を読むのが大事かというと、経済情勢に対して複眼的な視点を持つことができるから。メディアというのは、なんらかのバイアスがかかっていますし、とくに海外と国内では同じ事象に対する分析の視点がまったく異なるケースが往々にしてあります。そういうのを知っているだけで、たぶん投資家としての洗練度も上がるでしょうし、日本のメディアの論調のトンチンカンさにも気づけます。

また、最近は証券会社のオンラインセミナーも充実しています。私がとくにお気に入りなのが、マネックス証券が毎月最終月曜日に開催している広瀬隆雄さんの「米国株オンラインセミナー」。これが非常に面白い。広瀬さんが米国カリフォルニアから生中継しているのですが、チャットによる質疑応答まであって、毎回充実の内容です。広瀬さんの気さくな人柄が分かる語り口や、ときおり見せるソフトな口調での厳しい指摘は、非常に味わい深い。

こういった情報に接しているだけでも、日本の新聞・雑誌しか読んでいないサラリーマンと比較して状況認識に大きな差が生じるでしょう。はっきり言って投資家としてだけではなく、ビジネスマンとしての洗練度が高まると思う。私自身、こういう勉強をするようになってから実際のビジネスでも役に立っています。取引先の偉い人と雑談していて、話題が世界経済などに及んだときに、非常に会話が弾むようになりました。これは相手がより偉い人であればあるほど効果があります(やっぱり偉い人は勉強しているのですよ)。

そんなわけで、投資はなにも儲けるためだけにするのではないということです。ほとんどの人は、例えば様々な趣味を通していろいろな教養を身につけているわけですが、同じように投資を通じて金融や世界経済についての教養を身につけることができるわけです。これも投資の功徳のひとつ。そして、そういた勉強をするためには、やはり「儲けたい」という感情から一歩引いて情報に接することが大事な気がします。そうすると、じつにいろいろなものが見えてきます。

だから、若いサラリーマンこそ、ほんの少額(それこそ飲み代程度)でいいですから、投資をやってみたらいいのではないですか。真面目に相対していれば、きっと得るものがあると思います(もとちろん、投資は自己責任でお願いします)。ただ、ビジネスマンとしての洗練度が高まった(と自分では思っている)としても、べつに出世したり給料が増えるわけではないのが困った問題なのですが。

【ご参考】
「バロンズ拾い読み」を無料提供しているネット証券は、いずれもインターネットから無料で口座を開設できます。⇒マネックス証券SBI証券楽天証券

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