2016年1月13日

分散投資こそが個人投資家にとって最大のディフェンス



あいかわらず日本株は冴えない展開が続いています。1月13日には、ついに日経平均株価も6日続落となり、Twitterのタイムラインなどでものすごく悲観的な(ときには攻撃的な)コメントが流れてくるようになりました。まあ、さすがに6日続落は酷いので、文句の一つでも言いたくなります。実際にセンチメントがいちばん悪化しているのは日本の投資家かもしれません。とくに個別株に投資している人にこの傾向が強いですね。一方でインデックス投資を実践している人は、それほど悲観的な感覚にはなっていないようです。なぜかというと、ほとんどのインデックス投資家は国際分散投資として日本株以外にも投資しているからです。また、投資対象も株式だけでなく債券やREITなどに分散している。投資対象が分散していると、意外とダメージが少ない。だって、実際に日本株が暴落している間に、株価や価格が上昇している国や資産カテゴリーがあるからです。そう考えると、これも投資の常識ですが、やはり分散投資こそが個人投資家にとって最大のディフェンスだということを実感します。

日本株だけに投資していると、年明け大発会からの6日間は悪夢のような日々だったかもしれません。でも、眼を海外にまで広げると、もう少し異なる風景が見えてきます。次に紹介するのは私は時々見ているサイト、世界の株価と日経平均先物から引用した1月12日の値上がり上位指数と値下がり上位指数のランキングです。



これを見ると日本の指数はメタメタですが、海外はけっこう上昇している指数も多い。ちなみに問題の中国株も上海B株はプラスです。なにが言いたいかというと、日本株だけに投資していると、まるで出口のないトンネンに入っているような気分になるけど、海外資産にも投資していれば、少しはリバウンドの気配も感じることができ、まるで印象が変わってくるということ。もちろん海外資産への投資は為替リスクがあるので、現在のような若干の円高でもけっこうダメージがあり、表のような上昇を直接に享受することはできません。しかし、現地通貨建ての騰落率を見ると、日本株のように下がりっぱなしというわけではないので、心理的に非常に楽です。こう考えると、やはり投資する国や地域を分散することは、個人投資家にとってリスクからの最大のディフェンスだということが分かります。

また、株式だけでなく債券やREITといった資産カテゴリーを分散させるのも非常に意味があります。これもインデックス投資家の間では有名な図ですが、各資産カテゴリーの年間騰落率を順に並べると次のようになります。図は三菱UFJ国際投信のeMAXIS特別サイトの「eMAXISバランスとは」のコーナーにある「バランスファンドは1番になれない?」のページから引用しました。



これを見ると、毎年順位が目まぐるしく変化しています。変化の規則性も見出せません。そして、何かの資産カテゴリーがマイナスリターンに沈んでいる年も、別のなにかのカテゴリーはプラスになっています。リーマンショックがあった2008年ですら、プラスリターンになっているカテゴリーが存在します。つまり、あらゆる資産がマイナスになるケースというのは、非常にまれだということ。そういう事態がないとは言いきれませんが、もしそうなれば天下一変の事件が起こっているでしょうから、これは天災みたいなものとして諦めるしかありません。それよりも、資産カテゴリーも分散させることで、大きく損をするリスクを低減できるというのが大切なポイントです。実際に複数の資産カテゴリーに分散投資するeMAXISバランスは、いずれも騰落率で最下位になった年がありません。そのかわり1位になった年もありませんが。

つまり、十分に分散されたポートフォリオは、最高のパフォーマンスとなることはないけれども、最悪のパフォーマンスになることはかなりの確率で防ぐことができる。個人投資家としては、それで十分ではないですか。そもそも個人にとっての運用目的は、資産を爆発的に増やすことではなく、守り育てることだからです。投資である限り、資産価格の変動からは永遠に逃れることはできません。そこで避けないといけないのは、一方的に負け続けることです。そのためには、とにかく分散するしかない。分散投資こそが個人投資家にとって相場変動のリスクから致命的な打撃を被ることを防ぐ最大の防御策なのです。

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