暇つぶしもかねてブルームバークのサイトをよく読んでいるのですが、ときおりヘッジファンドがらみで面白いニュースが流れてきます。だいたいが大損害を被ったといった情けない内容が多いわけで、いったいヘッジファンドに恨みでもあるのでしょうか。今日も悲喜こもごもなニュースが配信されました。
ヘッジファンド、ドルに依然強気-ECB失望相場で大打撃受けても(ブルームバーグ)
こういったニュースを読むと、ヘッジファンドも大変なんだなと妙な感慨を覚えます。日本では“ヘッジファンド”と聞くだけで「なんだかスゴそう」と思ってしまう人もいるのですが、彼らは彼らで、なかなか苦労しているようです。
記事によると、欧州中央銀行が先週発表した追加緩和策が予想よりも小規模だったことで、追加緩和で大幅なユーロ下落を予想してポジションを積み上げてきたヘッジファンドが大損害を被ったとか。
ECBの追加緩和発表後、ドルは対ユーロで6年半ぶりの下げ幅を記録。より大規模な緩和拡大決定を見込んでユーロ下落に賭け、売り越し高を今年5月以来の規模に積み上げていたヘッジファンドはユーロの急反発で大打撃を受けた。予想が外れたときの言い訳が「不意を突かれた」というのも、ほとんど素人と変わらないのがなんとも言えない微苦笑を誘います。それでも彼らは闘志満々で次のように語っています。
PAAMCOのディレクター、サム・ディートリッヒ氏は電話インタビューで、ECBの決定に「多数の人が不意を突かれた」と指摘。「ユーロを売っていた向きは恐らく損失を被っただろう」と語った。
同氏は「ドル強気派は依然多い」とし、「うまく行かない時があったとしても、それで終わりではない。多くの場合、挽回できる機会はやってくる」と続けた。たしかにそうかもしれませんが、ちょっと熱くなりすぎでは。為替の予想などは所詮、ギャンブルです。ギャンブルが悪いとは言いませんが、代打ちが「挽回できる機会はやってくる」などと口走り始めたら、私が金主なら資金を引き上げることを考えます。
そう思って読んでいると、さらに情けないニュースが配信されていました。なんでも2008年の金融危機で破綻したヘッジファンドがシティグループを提訴したそうです。
シティを破綻したヘッジファンドが提訴-金融危機時の取引清算で(ブルームバーグ)
これなどは、まさに“どっちもどっち”としかいえません。シティのやり方が強引だったのかもしれませんが、このヘッジファンドも経営者が詐欺罪で実刑になっているわけですから。ただ、シティの反論は面白い。
シティグループはこれに対し、スリランカやウガンダの債務、ザンビアの精糖会社、ドミニカ共和国の醸造会社の債券に関連したポジションは流動性がなく、良好な市場環境においても価値の判断が困難だと文書で反論。一部のポジションの価値判断を誤ったとは認めつつ、「その差額はミレニアムが主張するより著しく小さい」としている。「スリランカやウガンダの債務、ザンビアの精糖会社、ドミニカ共和国の醸造会社の債券」というところがふるってますね。世の中は蓼食う虫も好き好きということでしょうか。きっとすごい予想利回りだったんでしょう。
そんなわけで、今日もヘッジファンドは平常運転のようです。
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