2015年11月8日

日本郵政グループの株価はバブルの気配-「旨い投資話はある」という確信が怖い



いろいろと心配していたのですが、どうやら日本郵政グループ(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険)のIPOは成功したといえそうです。IPOに当選した人には、まずは「良かったですね」と言いたいと思います。ただ、3社とも現在の株価だとバリュエーションの面でそれほど割安感もなくなってしまいました。IPOで取得し、現在も保有している人は、これからの判断が難しくなるでしょう。どこかで利確するのか、あるいは長期で保有するのか。そして、もっとも気になるのが、これからエントリーしようと思っている人です。とくに株式投資初心者は注意が必要です。その点から、豊島逸夫さんが親切なアドバイスをブログに上げてくれています。

郵政上場(豊島逸夫の手帖)

豊島さんは、とくにかんぽ生命の株価の動きにバブルの気配を感じているようです。これはNTTなどかつての大型IPOにも共通するのですが、こういった銘柄への投資でもっとも警戒しなければいけないのが、上場後の上昇で投資初心者が勘違いしてしまうことです。もし、「旨い投資話はある」と感じてしまったなら、そこに怖い落とし穴があるような気がしてなりません。

11月4日の上場初日は日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命ともに大幅な株価上昇となりました。とくにかんぽ生命は上場初日にストップ高まで上昇しました。ただ、これはちょっと出来すぎだとして、豊島さんは次のように指摘しています。
かんぽ生命がストップ高で引けたとなると、過熱気味の印象はぬぐえない。上場初日、売り出し価格を50%以上上回る水準で、なお買い注文が続くという現象。しかも、後場は日経平均の上値が重く息切れしている。このような市場環境で、なお買い続ける「本尊」は誰なのか。少なくとも、オーソドックスな株式投資家の動きとは思えない。仕手株化の匂いが漂う。トレンド・フォローのCTA(コモディティー・トレーディング・アドバイザー)などの仕掛けが考えられる。
そして、もっとも心配しているのが、こうした株価の上昇を目にした初心者投資家集団の動き。かつてNTT上場の際にも見うけられた現象ですが、すぐに「買えば誰でも儲かる」といった風潮が生まれ、慌てて飛びついた投資初心者が高値掴みしてしまい、後に大幅な損切りや、いまだに塩漬けを余儀なくされているというケースは非常に多い。実際に豊島さんの眼にも危険な兆候が散見されるようで心配している。
気になるのは、「一日で5割以上の上げ」に惹かれて集まってくる初心者投資家集団の動きだ。
これをキッカケに「コツコツ投資」を始めるのであれば、健全な流れだが、昨日講演した投資セミナーの後で質疑応答を受けた参加者たちのなかには、「一獲千金」の誘惑に駆られて郵政上場に期待感を寄せる初心者たちが多かった。それもシニアだけでなく、若い世代の参加者が目立った。側で心配げに見守る妻の姿が印象的だった。「投資はそんなに甘いものではない」と思わず肩を叩いたのだが、長年の勘で、誰が何言おうと、この人たちは変わらないだろうと思った。たぶん、彼らは、「講師は、しきりに諌めていたが、やっぱり旨い投資話はある。」と確信してしまったのではあるまいか。それこそ、ヘッジファンドの「カモ」になるまいか、気になる。
これは非常に危険な兆候だと思う。とくに「やっぱり旨い投資話はある」と確信してしまった投資初心者は危険な傾向が出ています。奥さんの心配を汲んであげましょうよ。

そもそも投資に「旨い」という感覚を持ち込むことが間違いのもとです。そういう感覚を持ち込んだ瞬間、「投資」は「投機」へと堕落してしまいます。なぜなら「旨い」という感覚の前提として「これから株価が上昇する」という“予想”が存在するからです。投資とはあくまで投資対象に対する価値判断に基づいて行うものです。株価に見合った価値があると判断すれば買う。価値がないと判断すれば買わない。それだけです。そこに“予想”は介在しません。だから「旨い」も何もないのです(ちなみに、しっかりとした価値判断に基づく投資ができていれば、含み損を抱えてもあまり気になりません。含み損は価格と価値の間の一時的な“ゆらぎ”にすぎないからです)。

実際に今回の日本郵政グループ3社のIPOをきっかけに、初めて株を買ったという人もいることでしょう。あるいは隣の人が「IPOで儲けた」と話しているのを聞いて、自分も乗り遅れてはいけないと焦っている人もいるかもしれません。でも、投資においてもっとも危険なのは焦りです。心配しなくても投資なんて、いつでも始めることができます。大事なのは、本当に自分で納得も得心もしてから、資金を投じること。少しでも不安があるなら、コツコツ投資から始めればいいのです。プロ中のプロである豊島さんも「明日以降、市場に参入してくるかもしれない「にわか株式投資家」たちには、やはり、「コツコツから始めよ。」と説いてゆきたい」とアドバイスしています。

そして、なにより「幸運な初心者株主は、「アドバンテージ」を生かし、まずは、株式投資についてのお勉強に励むべきだろう」という指摘は、とても大切なことです。投資に「旨い話」はありません。必要なのは、徹底的に勉強することなのです。
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