10月の株式市場は、9月の大幅下落から大きく反発した月でした。とくに中国経済などへの懸念から売り込まれていた外需銘柄の回復が顕著でした。こうした状況に対して、ひふみ投信でも一定の対応はしていたとして、次のように説明しています。
このような状況の中でひふみ投信は、業績の拡大が見込まれる成長企業を中心としたポートフォリオを維持しながらも、大型株主導の相場展開を鑑みた投資も実施しています。具体的に申しますと、日本だけでなく海外での医療サービス拡大が期待されるシスメックス(6869)の買い増しや、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)やトヨタ自動車(7203)の再組入れなどを行ないました。しかしながら、前述のような外需銘柄の比率が相対的に高くなかったことより、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)が前月比で10%近く上昇したのに対して、ひふみ投信の上昇率は4.2%と劣後する結果となりました。結果的に外需銘柄の比率が低かったことが当月にインデックスを大きくアンダーパフォームした要因となります。ただ、このあたりの判断が難しい点です。もし外需銘柄の比率が高ければ、前月に大幅な下落となっていたわけですから。逆に三菱UFJフィナンシャルグループやトヨタ自動車といった、ひふみ投信があまり組み入れない大型株を機動的に再組み入れして、しっかりと値戻し益を確保していることに感心しました。
今後の運用方針については、引き続き厳しい環境が続くと見ています。とくに企業業績の成長に陰りが見えてきたこと、中国経済の根本的な改善には時間がかかるとの見通しです。このため運用方針も慎重な姿勢を強めています。
このような場合、期初予想が大幅に下方修正される企業が出てくる可能性も高いので、足元の数字の確認が重要になってきます。上方修正が相次ぐことは少なそうですので、まずは下方修正を回避できそうな企業への投資比率を高めていくことが重要で、同時に、デフレが好材料となる企業のウエイトを上げていくことも検討しています。こうした見方は、個人的な相場観とも一致します。また、デフレが好材料となる企業のウエイトを上げることを検討するというのは注目の発言。日本経済に対して運用責任者がそうとう厳しい見方を強めていることが分かります。いずれにしても経済全体のトレンドが変わり目にきているような感じがするので、しばらくは難しい運用が続きそうな気配です。
中国のファンダメンタルズの改善には時間がかかるので、中国市場関連企業への投資についてしばらくは様子見です。米国の金利上昇は12月になる可能性が高いとみていますが、米国の金利上昇リスクについてはマーケットでだいぶ織り込まれているので、もし金利引上げがあっても株式相場の下落は限定的であると考えています。
これから国内では、補正予算や公的年金の運用資産への株式組入れなどの話が出る可能性もあり、政府からの株式市場てこ入れの話題が出てきやすい時期です。ただ前述のとおり、企業業績はやや下向きの状況ですので、より慎重な投資スタンスが求められると考えています。
先だって発表されていた中間運用レポート恒例の組み入れ銘柄紹介ですが、今回はMonotaRO(3064)でした。工場で使用する産業資材や消耗品をインターネット経由で供給する流通企業です。これまた渋い銘柄。工場で使用する資材や消耗品というのは工場の稼働率が低下しない限りは需要が安定していますので、上手くやれば非常に儲かる事業でしょう。インターネットによる販売というのも、これからの成長が期待できると見ているようです。期待したいと思います。
※ひふみ投信は、銀行や証券会社といった販売会社を通さない直販ファンドです。ネットから無料で口座を開設することができます。⇒ひふみ投信
※ひふみ投信と同じマザーファンドに投資する「ひふみプラス」はSBI証券 、カブドットコム証券、楽天証券、マネックス証券など主要ネット証券や地方銀行などで買うことができます。