『eMAXIS JAPAN クオリティ150インデックス』募集・設定について(三菱UFJ国際投信)
設定日は11月6日。最近流行りのスマートベータ指数に連動する日本株式インデックスファンドです。ユニークなのがベンチマークに「iSTOXX MUTB JAPAN クオリティ150インデックス」を採用したことでしょう。三菱UFJ信託銀行とスイスの株価指数算出会社であるSTOXXが共同で新たに開発したものです。
スイスSTOXX社とのスマートベータインデックスの共同開発について(三菱UFJ信託銀行)
ほかに例のない指数ですから、今後の動向が気になるところ。スマートベータについては様々な見方があるのですが、MUFGグループが運用ビジネスだけでなくインデックスビジネスに参入しているという点でも興味深いものがあります。
eMAXIS JAPANクオリティ150インデックスの概要は以下の通りです。
eMAXIS JAPANクオリティ150インデックスやはり最大の注目ポイントはベンチマークであるiSTOXX MUTB JAPAN クオリティ150インデックスの内容です。STOXX JAPAN600を投資対象ユニバースとし、そこから以下の基準で150銘柄を選んだものとなります。
設定日:2015年11月6日
ベンチマーク:iSTOXX MUTB JAPAN クオリティ150インデックス
信託報酬(税抜):年0.4%
信託財産留保額:なし
決算日:年1回(1月26日)
販売会社:SBI証券、楽天証券
ユニバース採用銘柄のうち、高ROEかつ、①財務健全性、②キャッシュフロー収益性、③利益安定性の3点に着目し高ROEの継続性を評価し、銘柄を選定ROEに着目したスマートベータとしては、すでにJPX日経400がありますが、JPX日経400との差別化についてはブルームバーグに記事が出ています(kenzさんのブログ、インデックス投資日記@川崎で教えてもらいました)。
JPX日経400にライバル、ROE継続性でJALなど独自銘柄(ブルームバーグ)
JPX日経400がROEなど定量的データに加えて社外取締役の選任状況などガバナンス関連の定性的データを加味しているのに対し、iSTOXX MUTB JAPAN クオリティ150インデックスは、完全に財務諸表など定量的データに特化して銘柄を選定しているそうです。この点に関して三菱UFJ信託銀行の人が「グローバルな投資家の認識として、ガバナンスというのはリターンのアルファのドライバーではない」と言いきっているのが面白い。この割り切りが、はたして吉と出るか凶と出るか。
バックテストの結果がどうなっているのかわからないので、この新インデックスの有効性については何ともいえません。ただ、eMAXISシリーズに投入してきたというのは興味深いものがあります。ここにきて低コストインデックスファンドシリーズの低コスト競争は新興勢力であるニッセイアセットマネジメントの<購入・換金手数料なし>シリーズや、三井住友アセットマネジメントによる確定拠出年金専用ファンドの一般販売開放などで、さすがのeMAXISシリーズも優位性が相対的に低下しています。その対抗策としてスマートベータによるインデックスファンドなど、ややニッチな商品ラインナップを強化しているのかもしれません。
また、三菱UFJ信託銀行が指数を共同開発したということで、MUFGグループとして指数供給ビジネスに本格的に参入しようとしているとも考えられます。今後、iSTOXX MUTB JAPAN クオリティ150インデックスをMUFG系列以外の運用会社が採用に動くのかどうかが気になるところです。
もっとも、スマートベータの有効性についても注意する必要があります。バックテストで優秀な結果が出ているとしても、それはしょせん過去のデータです。今後も同じように優位には働くとは保証できません。そのあたりのことも考えて、例えばTOPIXや日経225、JPX日経400と比較してどういった値動きを見せるのかWatchしたいと思います。