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2015年10月12日

投資に失敗したぐらいで死んだらつまらんじゃないか

相場が暴落すると、翌日に鉄道自殺が発生するとネットなどではよく書かれているのですが、私は半分冗談だと思っていました。ところが「週刊現代」の記事を読んでビックリ。実際にJR新小岩駅では、今年に入ってからもすでに6件もの鉄道自殺が発生しているそうです。

今年すでに自殺6件! 投資敗者が最後に向かう「新小岩駅」、憂鬱の実態とJRの対策(現代ビジネス)

べつにすべてが投資失敗を苦にした自殺だとは思いませんが(このあたりは「週刊現代」らしい演出でしょう)、実際に投資の失敗が原因のケースもあるのでしょう。それにしてもいつも思うのですが、投資で失敗したくらいで死んだらつまらんじゃないですか。なぜこんなつまらないことになるのか。それは、根本的に投資の方法が間違っているからです。

記事には、自身も投資に失敗し、自殺を考えたという岩崎さん(仮名)が登場しますが、これなどは間違った投資方法の典型例です。
岩崎さんは、退職金の500万円を運用しようと昨年から株を始め、やがて信用取引も行うようになった。ところが、今年の5月に持っていた株が暴落。借金をして追加入金をするも、株価は回復せず、追証を合わせて約1000万の借金だけが残った。その後、何日も後悔と自責の念にかられるうちに、死を意識するようになったという。
退職金をもらって初めて株式投資を開始するというのがすでに危険な兆候をうかがわせるのですが、最大の間違いは信用取引を行ったことと、損を取り返そうとして借金で追加入金したことです。信用取引自体がすでに借金をしての投資ですが、その上に別の借金で追加入金するようではでは目も当てられません。

こういう記事が出るたびに「投資は怖い」といった意見が出るのですが、「投資が怖い」のではありません。「借金して投資する」ことが怖いのです。株式投資なら余裕資金で現物売買しているうちは、なにも怖いことはありません。たしかに損をするケースは多々ありますが、べつに死ぬほどのことはないはず。実際に私の親戚には山一證券の株を1千万円以上保有していたものの、山一廃業で全損になった人がいます。いまでもその話題になるとブツブツ文句を言っていますが、それでも普通に日常生活を続けています。しょせん株式投資の失敗などは、その程度のことなのです。

ところが借金をして投資するとなると話は別です。実際のところ投資の失敗で自殺したり、家庭崩壊となるのは、ほとんどは投資が原因ではなく、借金が原因だといえる。別に投資しなくても、借金が原因で自殺したり一家離散となるケースは多い。それほど個人にとって借金というのは恐ろしいものです。だから、「借金で投資する」というのは、本当に“異常”なことだということを強調したい(ちなみに、株の信用取引だけでなくFXのレバレッジ取引も借金して投資していることだということを忘れてはいけません)。

それにしても記事の中で紹介されているJR東日本の対策には頭が下がります。たしかに鉄道自殺されると鉄道会社としても大損害なので必死になるのはわかるのですが、なんとなく自殺しようとしている人を思いやる優しさがにじみ出る対策です。掲示板に張られた「あの人 この人に 支えられ 今を 生かされ 生きている」というメッセージも素晴らしい。考えてみれば、こうした世の中に対する感謝の気持ちを忘れたことが、人を無謀な投機行為へと走らせたともいえるからです。

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