2015年9月1日

新興国投資は気長にやろう

あいかわらずモヤモヤ感のある相場が続いていますが、一時に比べれば少し落ち着きを取り戻したような感じです。とはいえ、実際に今後は相場がどうなるさっぱりわかりません。とくに冴えないのが新興国です。今回の世界的株価下落でも新興国はひどかった。私は国際分散投資のポートフォリオで新興国に比較的大きなウエートを割いているので、かなり含み損が出てきました。そんな中、今こそ知りたい資産運用のセオリーなぜ人は市場に踊らされるのか?稼ぐ経済学 「黄金の波」に乗る知の技法などの著者である龍谷大学の竹中正治教授の論考がロイターに載っていました。

中国ショックは「世界不況」招くか(ロイター)

私が感じていることを具体的なデータから論証していて、大いに賛同したわけです。やはり、新興国への投資というのは、気長にやらないといけないということです。




中国や東南アジアの経済成長が停滞しつつあることは、実際に現地を訪問したときもひしひしと感じました。これは単純な景気循環ではなく、もっと根本的に経済構造や成長モデルが転換する際の“生みの苦しみ”なのかもしれません。そうなると、これからの停滞は少し長引く可能性があります。社会や経済の構造転換というのは、そんな簡単にできるものではないことを、もう20年以上「改革」と唱え続けている日本人がいちばん分かっています。

竹中教授の論考は、そんな中国の構造問題をよく捉えており、非常に納得のいくものです(この先生、ちょっとマルクス経済学の知見があるみたいですね)。そこで非常に面白かったのは、ブラジル、中国、インド、ロシア、南アフリカのBRICS5カ国にインドネシアを加えた6カ国のOECD景気動向指数の合成指数が、MSCIエマージング指数とほぼ相関しているという指摘です。そもそも6カ国の景気動向自体には、もともとそれほど相関性がなかったのですが、2000年代に入ってから実際に相関性が高まったとか。その理由を竹中教授は次のように推測します。
ご承知の通りBRICSという呼称は2001年にゴールドマン・サックスが使い始め、大型新興国投資ブームに火をつけた。これら大型新興国の経済成長率の相関関係の上昇は、貿易などの実体経済面の相互依存というよりは、世界的なBRICS投資ブームという金融・投資面の変化によってもたらされた可能性がある。
そして現在起こっていることは、この新興国投資ブームが逆向きに巻き戻されているということであり、新興国投資は「冬の時代」の到来を示唆している可能性があるそうです。

それなら今後、新興国投資についてどのように考えるべきでしょうか。この点に関しても竹中教授の指摘は非常に納得のいくものであり、まったく同感です。
これら諸国の株価や対ドル為替相場も、アジア通貨危機時のような激発性の暴落は回避されるかもしれないが、軟調基調が続き、高リスク・低リターンを余儀なくされる期間が長期化しよう。新興国への株式投資をするのであれば、これからが買い場なのかもしれない。ただし、リターンを上げるまでに相当長い期間の辛抱が必要になりそうだ。
こういう着眼点を持っていることが、この先生の面白いところです。さすが機関投資家で長年働きながら、個人投資家としても長期投資で成果を上げている人ならでは発想です。

やはり新興国投資というのは気長にやるしかありません。10年先、20年先を見た投資です。そう考えると、これからしばらく「冬の時代」が続くのは、それほど悲観することではないかもしれません。竹中教授も指摘する「相当長い期間の辛抱」が必要になりますが、それが投資における「買い場」というものです。
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