2015年8月14日

人民元の切り下げでハイ・イールド債は「お先真っ暗」だそうです

中国が20年ぶりに人民元の大規模切り下げを実施したことで、さまざまなところで影響が出ているようです。とくに悲観的な観測が広がっているのが米国のハイ・イールド債(ジャンク債)だとか。ブルームバーグによると、先行きが真っ暗になったそうです。

中国「不吉な前兆」でお先真っ暗-瀬戸際のジャンク債投資家(ブルームバーク)

日本でもハイ・イールド債は、なぜだか人気があるのですが、投資している人たちは大丈夫かしら。

ブルームバーグの記事によると人民元の切り下げを契機にドル建てハイ・イールド債(投機的格付け債)の平均価格は2011年以来の安値に下落したそうです。とくにエネルギー関連の社債価格の下落が酷く、デフォルト率も2003年以来の高水準になっているとか。その理由を記事は次のように説明しています。
人民元の切り下げが米国の社債にこれほど打撃を与える理由が存在する。切り下げは中国の成長がアナリストの予想以上に減速しつつある可能性を示唆し、同国からの継続的な需要を当てにする工業セクターの企業を直撃する。天然資源価格の下落で債務の返済が既に苦しい一次産品の生産会社にとっては特に深刻だ。
このように地合いが一気に悪化すると社債への投資というのは非常に難しいものです。株式以上に流動性が低下するので、売るに売れなくなる。投資不適格債であるハイ・イールド債となれば、なおさらです。まさに「お先真っ暗」という表現が関係者の気持ちをよく表しています。

世界的に投資適格債の金利低下が続いていたことで、ハイ・イールド債は人気だったわけですが、今回の事態で潮目が変わるかもしれませんね。そもそも景気が悪化したときのクッション役として債券をポートフォリオに組み入れるというのが国際分散投資のセオリーですが、ハイ・イールド債は景気が悪化するとデフォルト率が高まって値下がりするわけですから、普通の債券投資とはまったく別の論理で成り立っている商品です。その意味では、極めてプロ向け度の高いアセットカテゴリーですから、それほど個人投資家が熱心に投資するべき商品ではないということがよくわかるというものです。

さて、日本でもハイ・イールド債に投資する投資信託はけっこう人気なのですが、これからどうなっていくのでしょうか。そもそもハイ・イールド債とは何なのかを理解して投資している人が、どれだけいるのやら。あまり無理をして火傷しないことを願わずにはいられません。

関連コンテンツ